◎キーウ近郊のブチャでは虐殺された民間人の遺体の収容作業が続いている。
米バイデン政権は6日、ロシアのウクライナに対する「戦争犯罪」への報復としてプーチン大統領の娘2人とロシアの銀行に新たな制裁を科すと発表した。
キーウ近郊のブチャでは虐殺された民間人の遺体の収容作業が続いている。
米国はロシアの最大手銀行スベルバンクと民間のアルファ銀行に対し、米国の金融システムを通じた資産の移動を禁じ、米国民がこれら2つの金融機関と取引することを禁止した。
またプーチン大統領の娘であるマリヤ・ボロンツォワ氏とカテリーナ・ティホノワ氏、ラブロフ外相との妻と娘、メドベージェフ元大統領らロシア安全保障会議のメンバーを制裁対象に追加した。
ジョー・バイデン大統領は6日、今回の制裁を「壊滅的」と表現した。「米国はブチャの残虐行為に対し、厳しく、即座に代償を支払う必要があることを明確にしました」
またバイデン大統領は、すべての米国民のロシアへの新規投資を禁止すると明らかにした。
AP通信によると、米財務省はロシアの主要な国有企業に対するさらなる制裁を準備しているという。
EUも追加制裁を準備している。
欧州委員会が提案したロシア産石炭禁輸は、ロシアのエネルギー産業を標的にするEU初の制裁になる予定。
EUのボレル上級代表は6日、「化石燃料はロシアの戦費調達の鍵である」と述べた。「開戦以来、我々は毎日ロシアのエネルギーに10億ユーロ(約1,350億円)支払っています。開戦以来、我々はプーチンに350億ユーロ(約4.7兆円)支払いました。我々がウクライナに提供した10億ユーロの兵器と比較してみてください」
主要メディアによると、EUのロシア産石炭禁輸制裁は早ければ6日中に採決される可能性があるという。発動には加盟27カ国の同意が必要。
ホワイトハウスのサキ報道官は6日の定例会見で、「米国と西側諸国はロシアへの新規投資をすべて禁止することを計画している」と述べた。
これとは別に、財務省は6日、米金融機関の口座内の米ドルでのロシア債支払いを禁じ、ロシアのデフォルトを後押しした。これでロシアはドル建て国債を処理するために自国内の貴重な米ドルを使わなければならなくなった。
一方、欧州委員会のフォン・デア・ライエン委員長は、石炭禁止は年間40億ユーロをロシアから奪うと述べ、石油禁輸を含む追加制裁を準備しているとしたが、天然ガスには言及しなかった。
しかし、欧州理事会のミシェル議長は、「EUはロシアに圧力をかけ続けるべき」とし、将来的には天然ガス禁輸も検討すると示唆した。
ミシェル議長は6日の会見で、「新しい制裁には石炭禁輸が含まれ、石油、そして天然ガスについても、遅かれ早かれ措置が必要になると思う」と述べた。
EUが提案した追加制裁には、より多くの個人と、ロシア第2位の銀行であるVTBを含むロシアの主要銀行4行に対する制裁が含まれる。またEUは、ロシアの船舶およびロシアが運営する船舶のEU加盟国への入港を禁止する。
さらに、量子コンピュータ、半導体、精密機械、輸送機器などの分野で100億ユーロに相当する輸出禁止措置も提案された。
ウクライナのクレバ外相はツイッターに、「EUの第5次制裁措置であるロシアの石炭禁輸、EUへの入港禁止、運送業者に対する制裁強化を評価する」と投稿した。「しかし、プーチンを止めるためには天然ガスと石油の禁輸、ロシアの全銀行のSWIFT解除が必要だ。困難な時代には困難な決断が必要だ」