◎ロシア・NATO協議は1月12日にジュネーブで。ロシア・EU協議は1月13日にウィーンの欧州安全保障協力機構で行われる予定。
2022年1月10日/スイス、ジュネーブで開催された米ロ高官級協議(AP通信)

1月10日、米国とロシアの高官はウクライナ東部で進行中の危機や地域の安全保障問題などについて協議したが、進展の兆しは見られなかった。

1回目の協議は約7時間続き、両国は緊張緩和に向けた努力を続けていくことに合意した。

ロシアはウクライナ東部の国境付近に兵士を10万人以上配備したと考えられており、西側の懸念を引き起こしている。

米国とEUはロシアがウクライナに侵攻した場合、「前例のない規模の経済制裁を科す」と警告した。

一方、ロシアはNATO(北大西洋条約機構)の東方拡大を非難し、要求に応じなければ最悪の事態をあり得ると警告している。

ロシアのセルゲイ・リャブコフ副外相は協議後の記者会見で、「ウクライナを攻撃する計画も意図もないことを説明した」と述べた。

リャブコフ副外相は記者団に、「ロシアはロシアの領土内に兵士を配備し、戦闘訓練を行っていると米国に説明した」と述べ、西側との衝突は望まないと示唆した。「ロシアは自国の領土内で活動しているだけです。エスカレーションを恐れる必要はありません...」

米国のウェンディ・シャーマン国務副長官は、双方の安全保障上の懸念について理解を深めることができたと述べた。

またシャーマン国務副長官は、「米国はウクライナのNATO加盟を認めないという要求を含むロシアの提案を押し戻した」と強調した。「NATO加盟を阻止する試みは、いかなる理由があろうと許しません...」

ロシアは先月、米国とNATOに提案した安全保障条約草案の中で、「ロシアの領土を攻撃できる範囲にNATO軍を配備しないこと」や、「ロシアの領土近くでのNATO軍の軍事活動禁止」などを要求した。またロシアは、「ウクライナのNATO加盟を認めない法的保証」を米国とNATOに求めているが、この要求はすでに拒否されている。

シャーマン国務副長官は2014年のクリミア併合に言及し、「ウクライナに侵攻した場合、ロシアは2014年を超える重大な費用と結果に直面する」と警告した。

米国の代表団によると、経済制裁には「ロシアの主要な金融機関に対する制裁」「輸出規制」「NATO軍の対応強化」「ウクライナの安全保障を強化する取り組み」が含まれる可能性があるという。

一方、リャブコフ副外相は協議を「ビジネスライクでプロフェッショナル」と評価したが、「緊張を過小評価すべきではない」と米国をけん制した。

米国、ロシア、NATOとEUの同盟国はジュネーブとウィーンの欧州安全保障協力機構で協議を重ねる予定である。

EUの外交政策責任者であるジョセップ・ボレル上級代表は10日の記者会見で、「ロシアが侵攻に踏み切る可能性はまだ残っていると信じている」と述べた。「国境の向こうに10万のロシア兵がいます。彼らはコーヒーを飲むためにウクライナの近くに部隊を展開したわけではありません!」

ボレル上級代表は「EUの協力、調整、参加がなければ、合意もない」と強調した。

ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は昨年末の年次記者会見でNATO軍の東方拡大を「レッドライン」と呼び、最悪の事態もあり得ると警告した。

ロシア・NATO協議は1月12日にジュネーブで。ロシア・EU協議は1月13日にウィーンの欧州安全保障協力機構で行われる予定。

2021年5月6日/ウクライナ東部ドネツクに設置された塹壕(AP通信/Felipe Dana)
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