◎ゼレンスキー大統領は4日、南部のウクライナ軍が破竹の勢いでロシア軍を押し返し、今週だけで数十の集落を奪還したと明らかにした。
2022年10月3日/ウクライナ、東部ドネツク州リマン、道端に放置されたロシア兵の遺体(vgeniy Maloletka/AP通信)

ウクライナ軍は4日、南部ヘルソン州でかつてない戦果を上げ、今週に入って数十の集落を奪還したと発表した。

ゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領も定例のビデオ演説で、南部軍が破竹の勢いでロシア軍を撤退に追いやったと報告した。

ロシア軍は東部ドネツク州の要衝リマンからの撤退を余儀なくされている。米シンクタンク戦争研究所は4日、ウクライナ軍がルハンシク州の州境まで到達した可能性があると報告した。

ロシア国防省は4日、ヘルソン州を占領する自軍の部隊が撤退を強いられていることを示す地図を公表し、押されていることを認めた。

プーチン(Vladimir Putin)大統領は上下両院で可決されたウクライナ4州を強制併合する条約にまもなく署名する予定だ。

ウクライナは併合宣言を却下し、西側諸国は追加制裁で対応している。

バイデン(Joe Biden)米大統領は4日、ゼレンスキー氏と電話会談し、米国は決して併合を認めないと断言した。またバイデン氏は高軌道ロケット砲システム「ハイマース」4基を含む6億2500万ドル相当の追加軍事支援を行うと表明した。

ロシア軍はヘルソン州の州都ヘルソンを支配しているとみられる。しかし、ドニエプル川以北の支配権は失いつつあるようだ。

ウクライナ軍はドニエプル川西岸を南下。ロシア軍はヘルソン州北部の一部の集落からの撤退を余儀なくされた。

ゼレンスキー氏は、南部軍が破竹の勢いでロシア軍を押し返し、今週だけで数十の集落を奪還したと明らかにした。

ウクライナ国防省はソーシャルメディアに、奪還したとされる集落に国旗を掲げる様子を投稿。ロシア軍の占領に耐えた市民もこの様子を撮影し、SNSに投稿している。

ゼレンスキー氏は南部軍の戦果を称賛する一方、まだ多くの地域が占領下に置かれていると指摘し、反攻作戦を継続すると誓った。

内務省は4日の声明で、ヘルソン州の50の町や集落を奪還し、そこにとどまっている市民約3500人を解放した報告した。

一方、ウクライナ国防省はヘルソン州のロシア軍が戦意を喪失し、ウクライナ軍の進行を遅らせるために橋や道路を破壊しながら後退していると明らかにした。

ロシア軍は戦地に仲間の遺体を放置している。報道によると、東部ドネツク州リマンにはロシア兵の遺体が道端に多数放置されていたという。

ロシア軍はヘルソン州でウクライナ軍に押されていることを認めたが、占領地を失ったとは述べていない。

しかし、ロシア国防省が公開した占領地を示す地図には一部の町や集落が含まれておらず、占領地を失ったことは明らかであった。

ロシア軍の情報を発信しているブロガーはテレグラムに、「ヘルソン州北部のロシア軍は包囲される可能性を考慮し、撤退したのだろう」と投稿している。

ヘルソン州のウクライナ軍報道官はツイッターに、「奪還した地域の住民約32万人のうち、とどまっているのは10万人ほど」と投稿している。

ウクライナ軍は数週間前からヘルソン州のロシア軍補給路や、クリミア半島に続く橋を破壊してきたが、東部ドネツク州のような勢いでは進軍していなかった。

ウクライナ軍は東部ハルキウ州やドネツク州で大きな成果を上げ、今月1日には要衝リマンを奪還した。リマンはロシアの支配下に置かれているルハンシク州への玄関口とみなされている。

リマンに市民はほとんど残っておらず、ロシア兵の遺体が多数放置されていた。

あるロシア人ブロガーはリマンから撤退した兵士の証言を引用している。「リマンを出たのは私たちだけだった。軍需品も何もない。すべてが焼き尽くされていた。私たちの友人や仲間は皆、そこで死んだ」

ロシアのショイグ(Sergei Shoigu)国防相は4日、予備役の部分動員令発表以来、20万人以上を徴兵したと報告した。国防省は30万人を徴兵するとしている。

しかし、若いロシア人男性を含む多くのロシア人がカザフスタンやジョージアなどの国境に殺到し、西側のメディアに「死にたくない」「戦争はイヤだ」と心情を吐露している。

カザフに逃れたロシア人はこの2週間で20万人を超えたと報告されている。

2022年10月3日/ウクライナ、東部ドネツク州リマン、ウクライナ兵(vgeniy Maloletka/AP通信)
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