◎ロシアはウクライナが切望する米国の追加支援が届く前に人海戦術で優位に立とうとしている。
ウクライナ、東部ドネツク州の前線付近、榴弾砲を発射するウクライナ軍(Libkos/AP通信)

ウクライナ軍のシルスキー(Oleksandr Syrskyi)総司令官は28日、ロシア軍が東部と南部の1000キロを超える前線に沿って攻撃を続けており、ドネツク州の要衝アウディーイウカの西方で激戦になっていると明らかにした。

シルスキー氏はテレグラムに声明を投稿。「前線の部隊がロシア軍による複数の攻撃に直面し、厳しい状況に置かれている」と警告した。

またシルスキー氏はドネツク州の前線付近にある3つの集落から戦術的に撤退したと明らかにしたうえで、「同盟国の砲弾・弾薬・防空システム支援が遅れれば、事態はさらに悪化する」と強調した。

ロシアはウクライナが切望する米国の追加支援が届く前に人海戦術で優位に立とうとしている。

米国は先週、610億ドル(約9兆6600億円)規模の追加支援を承認した。

しかし、その支援が前線に届くには数週間かかると見込まれている。ウ軍は弾薬、兵員、防空網の不足に数カ月間悩まされてきた。

シルスキー氏は声明の中で、「前線の状況は著しく悪化している」と強調。ロシア軍が東部の要衝アウディーイウカを2月に占領した後、ドネツクのウ軍防衛線に波状攻撃を仕掛け続けていると述べた。

それによると、激しい戦闘はロシアの支配下にあるアウディーイウカとバフムートの前線やその周辺で続いているという。

シルスキー氏は戦術的な理由で3つの集落をロシア軍に明け渡したと認めた。「これはロシア軍が戦術的な勝利を収めたことを意味します...」

またシルスキー氏は前線から離れ休息していた部隊が損失を被った部隊と入れ替わるため、これらの地域に向かっているとした。

ロシア国防省は28日、自軍がアウディーイウカの北方約15キロに位置する集落を占領したと明らかにした。

ウクライナ大統領府によると、ロシア軍による直近24時間の攻撃で民間人少なくとも7人が負傷したという。東部ヘルソン州や南部ミコライウ州でも攻撃が報告され、多くの家屋や電力・公共インフレが被害を受けた。

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