◎この法案はサンチェス首相の与党「社会労働党」と連立を組む急進左派ポデモスが追求してきたものである。
スペイン下院は22日、16歳以上の市民の身分証明書の性別を自己申告で変更できるようにするトランスジェンダー権利保障法案を賛成多数で可決した。
法案は賛成188票ー反対150票で可決され、上院に移った。
この変更はサンチェス(Pedro Sanchez)首相の与党「社会労働党」と連立を組む急進左派ポデモスが追求してきたものである。
しかし、この変更はフェミニスト団体を二分し、反対派は女性の権利を侵害する恐れがある警告している。
法案が成立すれば、16歳以上の市民は自己申告で簡単に性別を変更できるようになる。12歳以上は一定の条件下で申請することができる。
現行法は性別変更の要件として、成人に対しては「性別違和の診断」と「ホルモン療法を2年以上受けていること」の証明が義務付けられ、未成年の場合は司法当局の許可が必要である。
ポデモスはこの変更がトランスジェンダーの権利と生活を保障すると指摘。反対派を差別主義者と呼んでいる。
しかし、法案は国内のフェミニスト団体を分裂させ、サンチェス氏の社会労働党内でも反対を表明する議員が出るなど、連立政権の亀裂を露呈させる事態に発展した。
反対派の議員は「生物学的性別よりジェンダーの主張を優先することは進歩ではなく、むしろ後退しているように見える」と批判している。
SNSにも様々な意見が寄せられ、懸念を表明する意見が目立っている。
反対派はこの法律が悪用され、女性の権利が脅かされるのではないかと指摘。女性を自称する男性が女子スポーツに参加したり、女性刑務所に男性を収監することが可能になると警告している。
また反対派は未成年者が自己申告で簡単に性別を変更できることにも懸念を示している。
欧州ではアイルランド、デンマーク、ノルウェー、ポルトガル、スイスなど、すでに9カ国が自己申告による性別変更を認めている。
スコットランド議会も今週、同様の法案を賛成多数で可決した。