◎セルビアは保守的な国であり、ポピュリストのブチッチ大統領の下、右翼の過激派が勢力を伸ばしている。
セルビアの首都ベオグラードで9日、LGBTQ+(性的少数者)の権利拡充を訴える活動家や団体などがプライドパレードを行い、数百人が参加した。
セルビアは保守的な国であり、ポピュリストのブチッチ(Aleksandar Vucic)大統領の下、右翼の過激派が勢力を伸ばしている。
ベオグラードでは昨年、プライドパレードに反対するセルビア・キリスト教と活動家の間で小競り合いが起き、機動隊が出動する事態となった。
9日のデモに参加した市民は「結婚の権利」「自由」「資本主義だけでなくクィア(既存の性のカテゴリに当てはまらない人々の総称)も解放を」などと書かれた横断幕を掲げた。
機動隊はデモに先立ち、ベオグラード中心部を封鎖。その中にある教会ではLGBTに反対する司祭ら約50人が集会を開いた。
ある反ゲイ活動家は中心部のメインストリートに「プライドパレードはいらない」と書かれた横断幕を掲げていた。
ブチッチ氏は今回のプライドパレードに先立ち声明を発表。「デモの権利は認めるが、同性婚やパートナーシップ制度を認める法案を承認することはない」と主張した。
またブチッチ氏はパレードの間、中心部にレインボーフラッグを掲げることを禁じた。
セルビア初の女性首相であり、同性愛者であることを公表しているブルナビッチ(Ana Brnabic)首相はLGBTQ+の権利拡充に関する発言をほとんどしていない。
今回のパレードに先立ち、25カ国の大使館やEU代表部がLGBTQ+とその価値観への支持を表明。LGBTQ+の権利保護を促す共同声明を発表した。
セルビアはEU加盟を目指しているが、ブチッチ氏は同性愛者の権利を軽視し、ロシア寄りの政策を推進している。
セルビアはウクライナ侵攻を非難する国連決議に賛成したものの、西側の対ロシア制裁には参加していない。