◎親ロシアの分離主義国家である「沿ドニエストル」はウクライナ南部と国境を接している。
ロシア中央軍管区のルスタム・ミネカエフ司令官代理は22日、ウクライナ南部を完全に掌握し、モルドバの分離主義国家「沿ドニエストル」への陸上回廊を切り開くと発言した。
南東部マリウポリや南部オデーサなどが陥落すれば、「東部ドンバス~マリウポリ~クリミア半島~オデーサ~沿ドニエストル」を結ぶ陸上回廊が完成する。
国営タス通信などはミネカエフ氏のコメントを引用し、「ロシア軍は南部の解放を目指す」と報じた。
沿ドニエストルは1990年代初頭の「トランスニストリア戦争」でモルドバから独立したと主張しているが、モルドバ政府と国際社会はこれを認めていない。ロシア軍は沿ドニエストルの分離主義者を支援した。
ミネカエフ氏の発言が公式か否かは不明である。
モルドバ政府はこの発言を受け、ロシア大使を召還した。
一方、ロイター通信はEU高官の発言を引用し、「ロシアは今後数日のうちにウクライナ東部と南部の沿岸沿いで攻撃を強化する可能性が高く、この2週間が戦争の行方を決めるかもしれない」と報じた。
沿ドニエストルはウクライナ南部と国境を接している。
ロシアは1994年にこの地域から完全撤退する協定に署名したが、それ以降も兵士1500人を駐留させている。
沿ドニエストルのロシア軍旧第14軍の兵器庫には銃4万9000丁、大砲800門、装甲車4000台、その他の軍事装備650ユニットが保管されていると伝えられており、強固な連隊を少なくとも4つは構築できると考えられている。
ミネカエフ氏はスベルドロフスク州で開催された軍事イベントで演説したと伝えられている。「ウクライナ南部の支配は、ロシア語を話す虐げられた沿ドニエストルの人々を解放することにつながる...」
ウクライナ国防省は22日、ミネカエフ氏の発言を「帝国主義」と非難した。
モルドバ外務省も声明を発表し、「ミネカエフ氏の発言は国際的に認められたわが国の主権と領土の一体性を支持するというロシアの立場と矛盾する」と非難した。
ゼレンスキー大統領は21日、ロシアが南部の占領地域で「偽物の独立住民投票」を行おうとしていると警告した。「もし親ロシア勢力がアンケートに答えるよう命じたり、パスポートを提出するよう要求してきたら、あなたは危機的状況にあると理解すべきだ」
「親ロシアはあなたが提出したアンケートやパスポートを使って住民投票をでっちあげるでしょう。気をつけなさい!」
ウクライナ国防省の報道官は、今後数週間のうちにへルソンとザポリージャ周辺の占領地域で住民投票が計画されていると警告している。
また報道官は、「偽住民投票が実施されれば、対象地域は親ロシアの支配地域になり、住民は強制徴用される」と警告した。