◎国連はロシアに対し、国際人道法に基づき、市民の生命を最優先するよう訴えた。
2023年6月8日/ウクライナ、南部ヘルソン州のロシア支配地域にあるカホフカ水力発電ダム(AP通信)

ロシア当局は18日、ウクライナ南部ヘルソン州のダム決壊で水没した被災地を支援するという国連の申し出を拒否した。

ロシア軍の支配地域にあるカホフカ水力発電ダムは今月6日に決壊し、ロシアが併合したドニプロ川東岸のヘルソン州の一部を含む広い範囲に水が押し寄せた。

洪水は家屋や農地を破壊し、数千人が避難を余儀なくされ、数十万人が飲料水を自力で確保できずにいる。

国連はロシアに対し、国際人道法に基づき、市民の生命を最優先するよう訴えた。

国連のウクライナ人道調整官であるブラウン(Denise Brown)氏は18日の声明で、「我々はウクライナで食料・飲料を含む緊急人道支援を必要とするすべての人々のためにできる限りの努力を続けていく」と表明した。

またブラウン氏はヘルソンの水没地域を念頭に、「助けを必要とする人々への援助を拒否することはできない」と述べ、ロシアを暗に非難した。

この大洪水による死者は確認できているだけで52人にのぼった。

ロシア当局は自国の支配地域で少なくとも35人が死亡したと発表。ウクライナ内務省はドニプロ川西岸などで少なくとも17人が死亡、31人が行方不明になっていると報告した。

双方の被災地から避難した人は1万1000人以上と推定されている。

ウクライナの検察当局を支援する国際的な専門家チームは18日、ダムの崩壊はロシア側が仕掛けた爆発物によるものである可能性が「非常に高い」と報告した。

米シンクタンク戦争研究所も同日、ダム決壊について、「証拠、推論、ロシア側のプロパガンダなどを見る限り、ロシア軍が支配するダムにウクライナの特殊部隊が何トンもの爆発物を持って侵入できる可能性は極めて低い」と指摘している。

AP通信は18日、ロシアがダムを破壊する手段、動機、機会を持っていたとするドローン写真や現地の軍事・政治筋からの情報などをまとめて報じた。

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