◎ロシア軍は東部ドンバスのルハンシク州、ドネツク州、ザポリージャ州への攻勢を強めている。
2022年4月18日/ウクライナ、南東部マリウポリ近郊、ロシア軍の戦車(Alexei Alexandrov/AP通信)

ウクライナ政府は18日、ロシア軍が東部ドンバス地方を掌握するために、全長480kmの戦線を形成し攻撃を開始したと明らかにした。

ゼレンスキー大統領はビデオ演説の中で、「ロシア軍がドンバスの戦いを開始した」と述べ、ウクライナに展開したロシア軍の大部分が東部に集結しているという見方を示した。

プーチン大統領は開戦直前、ドンバスのテロ国家である「ルガンスク人民共和国」と「ドネツク人民共和国」の独立を公式承認した。

首都キーウの攻略に失敗したロシア軍は東部の制圧に焦点を移したと考えられている。米国防総省やイギリスの諜報機関は、キーウや北部地域から撤退したロシア軍は部隊の再編成と補給を済ませ、東部に展開したと報告している。

ゼレンスキー大統領は演説の中で、「ロシア軍に攻め立てられようと、我々は戦う」と誓った。「自国を守るために戦う..」

ウクライナ軍参謀本部によると、ロシア軍はドンバスのルハンシク州、ドネツク州、ザポリージャ州への攻勢を強めているという。

ウクライナ国家安全保障会議のダニロフ書記は地元メディアが18日に放送したインタビューの中で、「今朝、ロシア軍はドネツク、ルハンシク、ハリコフのほぼすべての戦線で防衛線の突破を試みた」と説明した。「幸いなことに、我が軍は持ちこたえています。彼らは2つの都市を通過しただけです...」

一方、ロシア軍に包囲された南東部の港湾都市マリウポリでは、ウクライナ国家警備隊アゾフ連隊のプロコペンコ少佐がビデオメッセージを投稿し、「連隊が立て籠もっている製鉄所にロシア軍がバンカーバスター爆弾(地中貫通爆弾)を落とし始めた」と明らかにした。

製鉄所にはウクライナ兵と民間人が避難している地下トンネルがあり、マリウポリの最後の主要拠点と考えられている。

ロシア軍は東部だけでなくキーウや西部リビウへのミサイル攻撃も繰り返している。専門家は東部以外への攻撃について、「ウクライナ軍の士気低下」「東部への増援阻止」を狙っている可能性があると指摘している。

ポーランドとの国境に近いリビウは2月24日の開戦以来、散発的な攻撃しか受けていなかったが、最新のミサイル攻撃で少なくとも7人が死亡したと報告されている。

ポーランド国境は西側諸国の主要な兵器輸送口になっている。

リビウ当局によると、最新の攻撃で軍事インフラ3カ所と自動車店が破壊されたという。また、他の地域から避難してきたウクライナ人が宿泊するホテルも大きな被害を受けたと伝えられている。

リビウは国内避難民の主要な避難先のひとつになっている。

ハリコフから子供2人を連れて避難した女性はAP通信の取材に対し、「リビウに戦争の悪夢が戻ってきた」と語った。「国内に安心できる場所はありません」

ロシアはウクライナに対する西側諸国の兵器支援に強い不満を持ち、こうした支援が「結果」をもたらす可能性があると繰り返し警告してきた。ロシア国営メディアの一部のキャスターは、「ウクライナに対する補給は西側が特別軍事作戦に直接関与していることを示している」と非難している。

ロイター通信によると、首都キーウ近郊のバシリキーウでも大きな爆発音が報告されたという。

第二の都市ハリコフに対する砲撃も続いており、AP通信などによると、17日の攻撃で民間人少なくとも3人が死亡した。

ロシアはドンバスの制圧に先立ち、その他の地域の兵器工場やインフラを攻撃し、ウクライナ軍の増派を防ごうとしているように見える。

ロシア軍は18日、「この1日で東部と中部の軍事施設、司令部、部隊や車両など20以上の標的を攻撃した」と主張した。

またロシア軍は、「砲兵隊は315の標的を、戦闘機は108の軍事施設を攻撃した」と主張した。

2022年4月17日/ウクライナ、北東部ハリコフの住宅地(Andrew Marienko/AP通信)
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