ロシア当局がFaceTimeの利用を制限、統制強化続く
通信当局は声明で、「FaceTimeがテロ活動の組織化や実行、関係者の勧誘、市民を標的とした詐欺などの犯罪に利用されている」との見解を示した。
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ロシア当局は4日、米アップル社のビデオ通話サービスFaceTimeに対し、利用制限を課したと発表した。これは、国家によるオンライン通信とインターネットの管理を強化する取り組みのひとつである。
通信当局は声明で、「FaceTimeがテロ活動の組織化や実行、関係者の勧誘、市民を標的とした詐欺などの犯罪に利用されている」との見解を示した。アップルはコメントを出していない。
今回の制限はロシアが以前から取ってきた複数の措置に続くものだ。過去にはWhatsAppやテレグラム、シグナルなどの通話機能が制限され、スナップチャットやオンラインゲームプラットフォームRobloxといったサービスもブロック対象となっていた。
通信当局はさらに、メッセージ等の機能を提供するすべてのプラットフォームに対し登録と国の治安機関へのユーザー情報提供の義務を課しており、違反すれば遮断される可能性がある。これは国内利用者のデータ監視と通信内容の把握を目的とした制度だ。これに従わないサービスは次々とブロック対象となっており、今回のFaceTime制限もその延長線上にあると複数の専門家が指摘している。
このような一連の規制強化の背景にはウクライナ侵攻以降、国際的圧力や西側諸国との情報戦の激化とともに、国外プラットフォームを締め出すことで国内の通信環境を国家主導で再構築するという戦略がある。
ロシア政府は自国開発のメッセンジャーアプリMAXを利用促進することで、国内通信を国家管理下に置こうとしており、暗号化の廃止や監視体制の強化といった問題が海外から批判されている。
今回のFaceTime制限によって、通話ややり取りの方法を奪われたインターネット利用者は少なくないとみられ、国民のプライバシーや通信の自由に対する懸念が一層強まっている。専門家は「FaceTime制限は予想された動きだった」と指摘。今後さらに多くの海外通信プラットフォームが対象になる可能性を警告している。
このように、ロシアは「テロ対策」「犯罪抑止」を名目に、国際的に普及していた通信サービスを次々と制限・遮断することで、オンライン通信の管理と統制を強めている。国内の利用者にとっては、利便性の喪失のみならず、情報の自由や通信の秘密といった基本的な権利の後退を伴う動きであり、国内外から批判の声が上がる可能性がある。
