◎ロシアはウクライナ東部国境付近の兵力を著しく増強し、分離主義者(ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国)とウクライナとの間で発生したドンバス戦争における停戦協定「ミンスクⅡ」を脅かしている。
2021年4月21日/ロシア、首都モスクワで開催された国民演説、ウラジーミル・プーチン大統領(AP通信)

4月21日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領は国民演説の中で西側諸国に「レッドライン」を越えないよう警告し、それが現実になった場合は「迅速かつ過酷な対応」を引き起こすだろうと述べた。

プーチン大統領は、「西側諸国は常にロシアを選択しようとしている」と述べた。「レッドラインを越えないことを願っています。私たちは特定の場所に独自の境界線を引いています。それを越えた時、ロシアの主権と内政を脅かす組織、個人、そして国家は、経験したことのない後悔に直面するでしょう」

ロシアはウクライナ東部国境付近の兵力を著しく増強し、分離主義者(ドネツク人民共和国・ルガンスク人民共和国)とウクライナとの間で発生したドンバス戦争における停戦協定「ミンスクⅡ」を脅かしている。アメリカとNATOはロシアに軍の撤退を要求している。

ロシアは2014年にクリミアを併合し、その後、「クリミア共和国(自称)」とドンバス地域の「ドネツク人民共和国(自称)」「ルガンスク人民共和国(自称)」の独立を承認したが、国連と国際社会はこれを認めておらず、分離主義者と認識している

ドンバス地域はウクライナの領土である。

ロシアは兵力の増強に対するウクライナと西側諸国の懸念を却下し、「ロシア軍は誰も脅かさず、自国の領土内に兵士を自由に配備できる」と主張した。また、ロシアはドンバス地域の民間人を保護するために介入せざるを得ない可能性があると述べ、ウクライナ軍が地域を支配するために行動すれば「力を行使する」と警告した。

プーチン大統領は演説の中で、「橋を燃やしたくない」と述べた。「しかし...ウクライナ軍がロシアの領土内で橋を燃やしたり街を爆破したりした場合は、ロシア軍は迅速に対応するでしょう」

2021年4月21日/ロシア、ウラジオストク、野党党首アレクセイ・ナワルニー氏の解放を求める抗議活動(ロイター通信)

プーチン大統領の演説中、首都モスクワ、サンクトペテルブルク、ウラジオストク、イルクーツク、クラスヤルスクなどでは野党党首アレクセイ・ナワルニー氏の解放を呼びかける抗議活動が開催された。

モスクワの治安部隊はクレムリンの隣の広場を封鎖し、繁華街に押し寄せた数千人を厳しく取り締まった。サンクトペテルブルクの治安部隊はエルミタージュ美術館の外にある宮殿広場を封鎖し、大通りに集まった抗議者を打倒した。

人権団体によると、治安部隊は21日だけで400人以上を逮捕したという。

昨年8月にソビエト産神経ガス「ノヴィチョク」で毒殺されかけ、今年2月に刑務所に収監されたナワルニー氏は現在、モスクワの東約180 kmに位置するウラジミールの刑務所病院で治療を受けている。ナワルニー氏の支援団体および医師らは、「同氏の体調はひどく悪化しており、数日以内に死ぬ可能性がある」と警告した。

プーチン大統領は演説の中で、「ロシア軍は核兵器を近代化するという目標を達成し、さらに最先端の極超音速ミサイルやその他の新しい兵器を製造し続ける」と述べた。「ポセイドン水中ドローンの核武装と、ブレベストニク原子力巡航ミサイルの開発は予定通り成功しました...」

またプーチン大統領は西側諸国に対し、政治に動機付けられた違法な経済制裁と、他者に自分の意思とやり方を身勝手に押し付ける試みは間違っていると非難した。「ロシアは西側の愚かな行動に対応することをしばしば控えています」

米バイデン政権は先週、2020年の大統領選挙への干渉とソーラーウィンズハッキングへの関与に伴い、ロシアに新たな制裁を科した。この動きにロシアは強く反発し、米国外交官10人に退去を命じ、8人の政府高官および元高官をブラックリストに追加し、米国大使館の運営要件を厳しくする報復制裁で応戦した。

プーチン大統領は演説の大半をコロナウイルス、福祉、経済発展に関する計画に費やす一方、西側がロシアと旧ソビエトの隣国ベラルーシとウクライナの安定を脅かしていると繰り返し非難した。「制裁の不当な使用は、より危険なものに成長しています。ペラルーシのクーデターに対する西側の支援もそのひとつです」

プーチン大統領は、昨年8月の不正大統領選挙で6期目の当選を宣言したベラルーシのアレクサンドル・ルカシェンコ大統領を支持している。両首脳は4月22日にモスクワで会談する。

ベラルーシの治安当局は4月17日、アメリカの諜報機関によるルカシェンコ大統領暗殺計画を阻止したと発表した。ロシアの連邦保安庁(FSB)によると、陰謀に関与したベラルーシ人2人を逮捕し、ベラルーシに移送したという。

一方、ベラルーシの野党党首、スヴャトラーナ・ツィハノウスカヤ氏はルカシェンコ大統領の主張を「野党勢力に対する挑発」と却下した。

ウクライナ当局によると、ロシアはドンバス地域周辺に10万人以上の大隊を移動させた可能性があるという。その部隊の半分以上は2014年に併合されたクリミア半島に集まったと伝えられている。ウクライナ軍のセルギ・ナジェフ将軍は先週、ウクライナ東部に配備されたロシアの総戦力を103,200人と推定した。

2021年4月21日/ロシア、ウラジオストク、野党党首アレクセイ・ナワルニー氏の解放を求める抗議活動、抗議者を拘束する治安当局者(AP通信)
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