腸内環境改善の「バズワード的」流行食品、本当に効果ある?
健康に関する情報はソーシャルメディアの流行だけで判断せず、専門家の意見に基づく判断を行うことが重要だ。
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近年、ソーシャルメディア上で「腸活」や「ガットヘルス(gut health)」をうたう食べ物や飲み物がブームになっている。「オリーブオイルをショットで飲む」「ボーンブロスを飲んで腸を“治す”」「チアシード水で朝を始める」といった投稿が話題を集め、これらの食品が消化を助けたり免疫やエネルギーを高めたりするといった主張が広がっている。だが、科学的な根拠は必ずしも明確ではない。こうした流行食品が本当に腸に良いのかどうかは、専門家の間でも慎重な見方が強い。
まずオリーブオイルについてだが、これは健康的な油として古くから知られており、心血管系への利益や抗炎症作用などが報告されている。しかし、その効能は「オリーブオイルをそのまま大量に飲むこと」によって特別な効果が出るという証拠は限られている。多くの栄養学者は、サラダや調理に取り入れるなど、日々の食事に適度に使う方がバランスの取れた摂取法であり、単独で腸内環境を劇的に改善するものではないと指摘している。
ボーンブロス、すなわち動物の骨や結合組織を長時間煮出したスープも人気トレンドの一つだ。これを「腸壁を修復する」などと宣伝する声もあるが、実際のところ人の腸内環境に対してブロスが直接的な治癒効果をもたらすという科学的証拠は十分ではない。ボーンブロスにはコラーゲン由来のアミノ酸やミネラルが含まれるが、それが腸のバリア機能を直接改善するかどうかはまだ研究段階だ。一般的には、たんぱく質を含む食事として他の栄養源と同様に摂るのが適切とされている。
チアシードや他の食物繊維が豊富な食品については、腸内細菌のエサとなるプレバイオティクスとして一定の効果が認められている。食物繊維は腸内で発酵し短鎖脂肪酸を産生することで腸の健康を支えることが知られているが、単一の食品だけで劇的な改善が見られるというわけではない。腸内細菌叢は非常に多様で、食物繊維や栄養素をバランス良く摂ることが重要だという意見もある。
専門家はまた、「腸を治す」という言葉自体に明確な定義がなく、しばしば過剰な期待を煽る危険があると指摘する。健康な腸には人それぞれの状態があり、便秘や下痢、腹部膨満感など日常的な不快感がある場合でも、必ずしも病的な問題があるとは限らない。また、食事や生活習慣全体を見直すことが、単発の食品に頼るよりも長期的な健康に寄与するとの見方が根強い。
総合的に見ると、オリーブオイルやボーンブロスのような「バズワード的食品」には一定の栄養的価値はあるものの、「腸を治す特効薬」として考えるのは科学的根拠が弱い。腸の健康に関心がある場合は、食物繊維を十分に摂る、発酵食品など多様な栄養素を含む食事を取る、適度な運動をするなどの基本的な生活習慣の改善が推奨される。いずれにせよ、健康に関する情報はソーシャルメディアの流行だけで判断せず、専門家の意見に基づく判断を行うことが重要だ。
