◎EU加盟国のブルガリアは北マケドニアとアルバニアのEU加盟を阻んでいる。
北マケドニア議会は16日、EU加盟交渉を大きく前進させると思われるフランスの「妥協案」を賛成多数で可決した。
コバチェフスキ(Dimitar Kovachevski)首相の左派政権はアルバニア系少数政党の支持を得ることに成功した。一方、野党はフランスの妥協案を却下し、採決を棄権した。
国会前には妥協案に反対するデモ隊が集まったものの、抗議は平和的に終了したと伝えられている。
EU加盟国のブルガリアは北マケドニアとアルバニアのEU加盟を阻んでいる。
ブルガリアは北マケドニアと言語や民族をめぐって対立し、アルバニアもその流れで加盟交渉を阻まれることになった。
フランスのマクロン(Emmanuel Macron)大統領が先月発表した提案によると、北マケドニアは「ブルガリア系少数民族を公式に認める憲法改正」「同少数民族の権利保護法施行」「同少数民族に対するヘイトスピーチを禁じる法改正」を行う予定である。
これにより、10年以上放置されてきたアルバニアのEU加盟交渉も始まると期待されている。
マクロン氏は、「この提案はブルガリア語がルーツであることを認めるものではない」と強調し、「妥協とバランスの上に成り立っている」とした。
ブルガリア政府は北マケドニアに「ブルガリア語がルーツ」であることを認めるよう要求している。
コバチェフスキ氏は議案の可決・承認を歓迎したが、憲法改正には3分の2以上の賛成が必要であり、野党の協力が欠かせない。
中道右派の最大野党「国家統一民主党(VMRO-DPMNE)」と他の少数野党は憲法改正に反対すると宣言しており、協力が得られなければ改正に必要な議席を確保することはできない。
コバチェフスキ氏は16日の閣議後、「7月19日からEU加盟交渉を開始する」と発表した。
一方、ブルガリアのペトコフ(Kiril Petkov)首相はフランスの妥協案を支持しているが、野党はこれに強く反対し、一部の議員は国家反逆罪に相当すると非難している。
フランスの妥協案はブルガリア国内でも波紋を広げている。ブルガリア議会は先月、ペトコフ氏の連立政権に対する内閣不信任案を賛成多数で可決。ペトコフ政権はわずか半年で崩壊し、前倒し総選挙の可能性が高まっている。
野党は採決前の演説で、フランスの妥協案を認めたペトコフ氏を「裏切り者」と呼んだ。
EUと米国は北マケドニア議会の決定を歓迎している。
欧州理事会のミシェル(Charles Michel)議長は決定を「歴史的」と評し、「EUは両手を広げて北マケドニアを歓迎する」とした。
米国のブリンケン(Antony Blinken)国務長官は声明で、「北マケドニア、バルカン半島、欧州の前進を歓迎する」と述べた。
アルバニアのラマ(Edi Rama)首相も決定を絶賛し、「EU加盟への道が開かれた」とした。