イギリス議会下院、16歳未満のSNS利用禁じる法案を否決
どものオンライン安全を巡る議論が続く中、全面的な禁止ではなく、段階的で柔軟な対応を取るべきだとの判断が示された。
.jpg)
イギリス議会下院は10日、16歳未満の子どもによるソーシャルメディア利用を全面的に禁止する法案を否決し、代わりに政府に柔軟な規制権限を与える方針を支持した。子どものオンライン安全を巡る議論が続く中、全面的な禁止ではなく、段階的で柔軟な対応を取るべきだとの判断が示された。
今回否決されたのは、学校関連法案に追加された修正案で、16歳未満の子どもがソーシャルメディアを利用することを全面的に禁止する内容だった。採決の結果、賛成173ー反対307で否決され、与党・労働党を中心に反対が多数を占めた。法案は保守党の議員らが起草し、若者を有害なオンライン環境から守る必要があるとして支持を呼びかけていた。
この禁止案はオーストラリアが導入した制度を参考にしたものだった。オーストラリアでは昨年末、16歳未満の子どもが一部のソーシャルメディアにアカウントを持つことを禁じる法律が施行し、世界で初めての包括的な規制として注目を集めている。
イギリスでも様々な著名人が規制強化を支持し、保護者の間でも子どものオンライン安全を巡る懸念が高まっていた。一方で児童保護団体などからは、全面禁止が逆効果になる可能性も指摘されていた。慈善団体NSPCC(全英児童虐待防止協会)は禁止措置によって若者が監視の届かない非公式なサイトや規制の弱いオンライン空間へ移動してしまう恐れがあると警告していた。
政府は全面禁止ではなく、より柔軟な規制手段を採用する考えを示している。下院は採決にあたり、科学・技術担当大臣に追加の権限を与える案を支持した。これにより、政府は特定の年齢層のソーシャルメディア利用を制限したり、利用年齢の基準を変更したりすることが可能になる。また、子どもが規制を回避するために利用するVPN(仮想プライベートネットワーク)の使用制限や、動画の自動再生など依存性を高める機能の規制も検討されている。
教育担当のベイリー(Olivia Bailey)議員は、政府がすでに子どものオンライン安全に関する公開協議を開始していると説明した。また全面禁止を求める声がある一方で、専門家や支援団体の間では慎重な対応を求める意見も多く、さまざまな選択肢を検討する必要があると述べた。ベイリー氏は「問題は行動するかどうかではなく、どのように行動するかだ」と強調し、最終的な規制内容は協議の結果を踏まえて決定されるとした。
一方、規制強化を求める議員からは政府の対応の遅さを批判する声も出ている。保守党の一部議員は、協議を続けるだけでは対策が何年も先送りされる恐れがあり、その間にも子どもが有害なコンテンツにさらされ続ける可能性があると指摘した。
法案は今後、再び上院(貴族院)で審議される予定で、両院の合意が得られれば成立する。インターネットと若者の関係をどう規制するかは各国で議論が続く中、イギリスでも子どもの安全と表現の自由のバランスを巡る議論が今後も続く見通しだ。
