◎当局は麻薬捜査を口実にモスクワ全土のゲイバー、ナイトクラブ、男性向けサウナ、LGBTQ+事務所や同団体が主催するバーなどを家宅捜索した。
ロシアの治安当局が首都モスクワのゲイバー、ナイトクラブ、男性向けサウナ、LGBTQ+(性的少数者)を支持する団体の事務所などを家宅捜索した。国営メディアが2日に報じた。
最高裁は先月末、LGBTQ+(性的少数者)の活動を事実上非合法化。司法省の主張を全面的に認め、国内で活動するLGBTQ+の団体・集会・活動家を「過激派組織」とみなし、これを禁じると裁定した。
国営テレビによると、当局は麻薬捜査を口実にモスクワ全土のゲイバー、ナイトクラブ、男性向けサウナ、LGBTQ+事務所や同団体が主催するバーなどを家宅捜索したという。
ゲイバーの取り締まりを目撃したジャーナリストは、「警察官はクラブ利用者に書類を書かせ、顔写真を撮っていた」と報告している。
国営テレビの取材に応じたゲイバーの運営者は、「警察から事前に家宅捜索を行うという連絡があった」と語った。
プーチン(Vladimir Putin)大統領は「伝統的な家族観」を重視し、LGBTQ+を「西側のスパイ」「ネオナチの工作員」などと呼んでいる。
ロシアの人権活動家は最高裁の判決について、「司法省の訴えは正式な団体に対するものではないが、最高裁の判決は極めて曖昧である」と非難している。
この判決を受け、第2の都市サンクトペテルブルクのゲイバーなど、いくつかのLGBTQ+関連施設が閉鎖を決めている。
このゲイバーは1日、「オーナーが最高裁の判決を鑑み、営業停止を決めた」と公式ホームページに声明を出した。
モスクワで活動するLGBTQ+を支持する団体の弁護士はAP通信の取材に対し、「最高裁の判決はLGBTQ+とその権利を守る人々の活動を事実上禁止するものであり、弾圧に他ならない」と語った。