◎ピエモンテ地域のマッジョーレ湖沿岸の町ストレーザからモッタローネ山を結ぶストレーザ-モッタローネ線の本線ケーブルは5月23日の12時30分頃に断線し、乗客15人のうち14人が死亡した。
5月30日、イタリアの裁判所は、北部ピエモンテ地域のケーブルカー墜落事故で逮捕された被告3人の保釈を許可した。
判事は、「モッタローネケーブルカー会社のオーナーであるルイギ・ネリーニ被告とメンテナンス責任者のエンリコ・ペロッキオ被告が、5月23日の墜落事故の主要因と考えられている緊急ブレーキの無効化を知っていたという証拠はない」と述べた。
3人は30日付けで保釈されたが、技術者のガブリエル・タディーニ被告のみ自宅軟禁を命じられている。
ピエモンテ地域のマッジョーレ湖沿岸の町ストレーザからモッタローネ山を結ぶストレーザ-モッタローネ線の本線ケーブルは5月23日の12時30分頃に断線し、乗客15人のうち14人が死亡した。唯一の生存者である5歳の少年は一命をとりとめたが、両親、弟、曾祖父母を失った。
3日後、ケーブルカーの緊急ブレーキは特殊なクランプが取り付けられていた影響で動作しなくなっていたことが判明した。
現地メディアによると、本体ケーブルの断線と緊急ブレーキの無効化の因果関係は明らかにされていないという。しかし、検察当局は、「容疑者たちは運行に支障がでるという理由でここ数週間の間に数回、緊急ブレーキを意図的に操作していた」と述べた。
タディーニ被告は取り調べの中でクランプを意図的に残したことを認めたと伝えられているが、理由などの詳細は明らかにされていない。
事故現場
メンテナンス責任者のペロッキオ被告は保釈後記者団の取材に応じ、「タディーニ氏は犯罪者ではない」と述べた。「ケーブルカーに異常があると分かっていれば、タディーニ氏は運行を停止していたでしょう。彼は点検結果を信じていました」
ケーブルカーの保守を担当するライトナーSpA社によると、本線ケーブルの点検は2020年11月に実施し、異常は見つからなかったという。
検察当局はタディーニ被告の証言に基づき、所有者を含む上層部も緊急ブレーキが無効化されていたことを知っていたと判断した。オリンピア・ボッシ検察官は26日の記者会見で、「所有者は緊急ブレーキが頻繁に動作し、ケーブルカーの運行に支障が出ていることを知っていた」と述べた。
「運行の遅れは収益に影響します。そして、ケーブルカーの改修には多額の費用がかかります。所有者たちは緊急ブレーキを無効化すれば運行の問題を解消できると考えたのでしょう...」
ネリーニ被告とペロッキオ被告の弁護士は、「二人は緊急ブレーキが無効化されていたことを知らなかった」と主張し、判事はこの主張を認めた。また判事は、保守を担当するライトナーSpA社も緊急ブレーキの無効化を知らなかっただろうと付け加えた。
弁護士は記者団に対し、「ペロッキオ氏はライトナーSpA社の点検に毎年約2,000万円を支払っており、何か異常が見つかればすぐ改修するつもりでいた」と述べた。「タディーニの策略とペロッキオ氏は無関係です」
判事は30日の声明の中で、「タディーニ被告はペロッキオ被告とネリーニ被告もクランプの取り付けを知っていたと主張したが、タディーニ被告は損害賠償を支払う余裕がある上層部と責任を共有しようとしている可能性が高い」と述べた。