ハンガリー政府、ガソリンとディーゼルに価格上限設定へ、原油急騰
オルバン首相はX(旧ツイッター)に投稿した動画で「国際的な原油価格の急騰がハンガリーにも及んでいる」と述べ、ガソリン価格の上限を1リットル当たり595フォリント(約276円)、ディーゼルを615フォリント(約285円)にそれぞれ制限すると明らかにした。
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ハンガリーのオルバン(Viktor Orbán)首相は9日、国内のガソリンとディーゼルの小売価格に上限を設ける価格統制措置を発表した。政府は原油価格の急騰による国民生活への負担を軽減することを目的に、燃料価格を引き下げる措置に踏み切るとしている。今回の価格上限措置はイランでの戦闘激化や国際的な供給網の混乱が背景にあると政府関係者は説明している。
オルバン首相はX(旧ツイッター)に投稿した動画で「国際的な原油価格の急騰がハンガリーにも及んでいる」と述べ、ガソリン価格の上限を1リットル当たり595フォリント(約276円)、ディーゼルを615フォリント(約285円)にそれぞれ制限すると明らかにした。価格上限は現地時間の10日午前0時から適用され、ハンガリーで登録された車両に対してのみ適用されるとしている。政府は国家の石油備蓄を放出し、燃料供給の安定を図る方針だと説明した。
この措置は2021年11月にオルバン政権が導入した燃料価格上限措置と同じである。当時は新型コロナ拡大による混乱を受けて燃料価格が急騰したため同様の措置が取られたが、その後、消費の増加や供給不足が原因で需要に対応できなくなり、1年後に終了した。今回の価格統制はそれに次ぐ再導入という形となる。
オルバン政権は4月12日に総選挙を控える中、燃料価格の抑制を通じて支持層の維持を狙っている。これに関連して政府は燃料費の負担軽減を強調しているが、財政への負担や価格統制の長期的な効果については批判も存在する。
オルバン氏は9日、EUに対してロシアへのエネルギー制裁の見直しを求める姿勢も示した。原油価格の急騰はイラン紛争や欧州内の供給不安が重なった結果だとして、EUがロシアからのエネルギー輸入禁止措置を解除・再検討すべきとの考えを表明した。またオルバン氏は「欧州は現実を直視し、ロシアからのエネルギー輸入に対する制裁を見直す必要がある」と投稿し、制裁がエネルギー価格の高騰を助長しているとの見解を示した。
ハンガリーはこれまでEU内で比較的ロシア寄りのエネルギー政策を続けてきた国であり、ロシアのウクライナ侵攻後も一部のロシア産原油やガスの輸入を継続・増加させてきた。特に「ドルジバ」と呼ばれるロシアからハンガリーへと向かう輸送網は、同国が輸入する原油の主要な供給源となっている。しかし、このパイプラインを巡っては26年1月以降、供給が停止し、ハンガリーとウクライナの間で責任の所在を巡る争いが続いている。ハンガリーはウクライナが供給を故意に停止していると非難し、EU内での制裁や支援計画に対して拒否権を行使するなど圧力を強めてきた。
ウクライナ政府はこれに強く反発し、ロシアの破壊工作によるパイプライン損壊が原因であると主張している。さらにハンガリー当局がウクライナ人の銀行職員を一時拘束し、現金や金塊を押収したことが新たな外交摩擦を引き起こした。ウクライナ側はこれを「不当かつ政治的動機に基づく行為」と非難し、両国間の対立はさらに深刻化している。
オルバン氏の燃料価格統制措置は国内の経済負担を緩和する狙いがある一方で、EU内での外交的緊張や経済・エネルギー政策を巡る対立を一層鮮明にしている。総選挙を間近に控え、ハンガリー国内での政策評価と国際社会の反応が注目される。
