クロアチアで徴兵制復活、10代の若者が基礎訓練に従事
新兵たちには制服や装備が支給され、寮生活を送りながら約2カ月間の基礎軍事訓練に従事することになる。
.jpg)
クロアチアで約17年ぶりに復活した徴兵制度により、数百人の若者が軍務に就くため入隊した。徴兵制は2008年に廃止されて以来初めて再導入されたもので、政府は安全保障環境の変化に対応し、若者に基本的な軍事技能を身につけさせる狙いがあるとしている。
最初の徴集グループには約800人が参加し、その多くは10代の若者である。彼らは全国にある複数の兵営に配属され、自宅に最も近い施設で訓練を受ける。新兵たちには制服や装備が支給され、寮生活を送りながら約2カ月間の基礎軍事訓練に従事することになる。
クロアチア軍参謀総長は9日、入隊した若者について、「彼らは民間の生活環境から離れ、軍の規律に適応していくことになる」と述べた。ただし訓練は段階的に進められ、急激な環境の変化によるストレスを避けるよう配慮すると説明している。
今回の徴兵制度では半数以上が正式な召集通知を受ける前に自ら志願して参加したとされる。また、参加者の約1割は女性で、女性は義務ではないものの希望すれば訓練に参加できる仕組みとなっている。
訓練では銃器の扱いなど伝統的な軍事技能に加え、ドローンの操作や対ドローン技術、サイバー戦への基本的な対応など、現代戦に対応した内容も含まれる予定だ。さらに応急処置や自己防衛など、災害や危機時に役立つ技能も学ぶ。
徴兵の対象は19歳前後の男性、訓練期間は約8週間。兵役中の若者には月額約1100ユーロの手当が支給され、訓練期間は就労年数として計算される。また、軍事訓練を修了した者は将来、国家機関の職に応募する際に一定の優遇を受ける可能性もある。
一方、宗教や思想などの理由で兵役を拒否する「良心的兵役拒否」も認められている。その場合、軍務の代わりに3~4か月程度の民間サービスに従事することができるが、支給される報酬は軍務より少なくなる。
クロアチア議会(一院制、定数151)は2025年10月、賛成多数で徴兵制度の復活を承認した。背景にはロシアのウクライナ侵攻などによって欧州の安全保障環境が緊張していることや、バルカン地域での軍備拡張の動きがある。政府は若者が危機状況に対応できる基本的能力を身につけることが国の防衛力強化につながるとしている。
クロアチアは人口約380万人の小国で、1990年代のユーゴスラビア紛争を経験した。2008年に徴兵制を廃止し志願制の軍隊へ移行していたが、国際情勢の変化を受け、再び若者を対象とした基礎軍事訓練を導入することになった。
今回の制度復活は欧州各国で軍備や予備役の強化を検討する動きの一例ともみられている。クロアチア政府は徴兵制度を単なる軍事訓練ではなく、若者に規律や社会的責任を学ばせる教育的な機会にもなるとし、今後も毎年数千人規模の若者が訓練に参加する見通しだ。
