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イギリス国立公文書館でラブレター展、王族やならず者たちの恋文を展示

展示は16世紀から20世紀に至る5世紀以上にわたる書簡を集め、愛情表現の多様性と人間の感情の普遍性を紹介する内容となっている。入場は無料で、4月12日まで開催される。
ラブレターのイメージ(Getty Images)

イギリスの国立公文書館でバレンタインデーに合わせた特別展示「Love Letters」が開幕し、ロイヤルファミリーやスパイ、一般市民など、さまざまな人々が綴った歴史的な恋文が公開されている。展示は16世紀から20世紀に至る5世紀以上にわたる書簡を集め、愛情表現の多様性と人間の感情の普遍性を紹介する内容となっている。入場は無料で、4月12日まで開催される。

主催団体はAP通信の取材に対し、「われわれは恋文の可能性を広げようとしている。愛の表現はさまざまな場所で見出される」と述べ、歴史的名士だけでなく、庶民の素朴な手紙も展示していることを強調した。展示資料には戦時中の恋人への手紙や同性愛を求める20世紀初頭のクラシファイド広告、失恋を歌った中世の詩など多彩な例が含まれる。

なかでも注目を集めているのは、1588年にロバート・ダドリー卿がエリザベス1世に宛てた手紙である。この書簡はダドリーが死期を迎える直前に書いたもので、「あなたの貧しい古いしもべ」と自署した情感豊かな内容が残されている。エリザベス1世はこの手紙を生涯大切に保管し、没後もそばにあったという逸話が伝わっている。

家族愛も展示テーマの一つとして取り上げられている。1817年に作家ジェーン・オースティンが姉キャサンドラに宛てた遺言状は、ほとんどの財産を姉に遺すという内容で、深い姉妹愛を感じさせる。また、1956年にはロンドンのギャング双子、レジーとロニー・クレイの父親が裁判所に宛てた手紙も展示されており、「彼らの人生の関心事はみんなに善をなすことだ」という言葉が記されている。

展示資料には身分の差や時代背景を超えた人間の感情が色濃く反映されている。例えば、1851年の手織り工ダニエル・ラッシュは、老齢の自分と妻を労働所に引き離さないでほしいと当局に嘆願する書簡を残している。これは1936年に王位を退いたエドワード8世が離婚歴のあるウォリス・シンプソンとの結婚を選んだ「退位文書」と並べて展示され、人間が愛のために払う犠牲の大きさを示す例として位置づけられている。

失恋や悲劇のエピソードも紹介されている。1944年に英国情報将校ジョン・ケアンクロスが元恋人に宛てた手紙は、何が起こるか知っていれば別れたかもしれないと回想する内容で、後に彼がソ連のスパイであったことが明らかになるという複雑な背景を持つ。また、ヘンリー8世の五番目の王妃キャサリン・ハワードが愛人トーマス・カルペパーに送った1541年の書簡には「命ある限りあなたのもの」と記されるが、この恋が発覚し二人は処刑された悲劇も展示されている。

さらに、国王チャールズ1世とその妻ヘンリエッタ・マリアが交わした親密な言葉の書簡も展示されており、これらは英国内戦の混乱の中で失われずに残っていた稀有な例として評価されている。展示を通して、愛の表現が時代や立場を超えて人々の生活や運命に深く関わってきたことが浮かび上がる内容となっている。

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