◎東地中海をめぐるトルコとギリシャの対立は100年近く前までさかのぼる。
2021年10月1日/ギリシャのサモス島、ミツォタキス首相(中央)(Thanassis Stavrakis/AP通信)

3月9日、ギリシャの現地メディアによると、ミツォタキス首相はトルコ政府の首脳会談要請に応じたという。

ギリシャとトルコはともにNATO(北大西洋条約機構)に加盟している。しかし、2020年に東地中海の石油・天然ガス鉱床の掘削権をめぐる争いが勃発し、海軍が出動する事態に発展した。それ以来、両国の関係はひどく緊張している。

ギリシャはこの事件を受け、軍の近代化計画に着手した。

ミツォタキス首相はイスタンブールに拠点を置く正教会のエキュメニカル総主教であるバルトロメオ氏と会談するためにトルコを訪問している。

政府は9日の声明で、「ギリシャは対話への扉を開いている」と述べ、問題解決に向けた協議を進めていくと示唆した。両首脳は9日中に会談する予定と伝えられている。

両国は石油問題でにらみ合っているが、エネルギープロジェクトでは協力関係にあり、アゼルバイジャンから西ヨーロッパに天然ガスを輸送するパイプライン建設を進めている。

トルコとギリシャを横断するこのパイプラインはロシア産エネルギーへの依存を減らす欧州の取り組みのひとつである。

ギリシャ政府はウクライナ難民への支援の一環として、12カ月の緊急居住許可を出している。トルコはロシアとウクライナの仲介役を期待されており、10日にトルコ南部で外相協議を開催する予定。

東地中海をめぐるトルコとギリシャの対立は100年近く前までさかのぼる。

第1次世界大戦でドイツ側についたオスマン帝国は敗北し、後継国のトルコは賠償請求権を放棄する代わりに、エーゲ海の島々の多くをギリシャに割譲することに同意させられた。

この決定にトルコは不満を持ち続けており、1974年にはキプロス問題が発生。トルコは島の北側に住むトルコ系住民を支援するという名目で軍隊を派遣し、北キプロス・トルコ共和国の独立と主権を承認した。

しかし、国際社会は北キプロスの独立を却下し、ギリシャ系住民の多い南側をキプロス共和国として承認した。それ以来、島は40年以上にわたって南北に分断されている。

2022年2月15日/アラブ首長国連邦ドバイ、トルコのエルドアン大統領(Getty Images/AFP通信/EPA通信)
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