◎事故は14日の現地時間午前2時30分頃に発生。漁船には移民最大750人が乗っていたとみられる。
2023年6月16日/ギリシャ、西部カラマタの港、救助された移民たち(John Liakos/InTime News/AP通信)

国連人権理事会(UNHRC)は16日、ギリシャ沖で14日に発生した移民船の沈没事故について、最大500人が行方不明になっていると報告した。

UNHRCのローレンス(Jeremy Laurence)報道官は国際移住機関(IOM)との共同声明で、「この恐ろしい悲劇による行方不明者の中には、多くの女性と子供が含まれる」と述べている。

またローレンス氏はこの地域で活動する人身売買組織を徹底的に取り締まり、法に基づいて裁く必要があると訴えた。

事故は14日の現地時間午前2時30分頃に発生。漁船には移民最大750人が乗っていたとみられる。

沿岸警備隊は78人の死亡を確認し、104人を救助した。それによると、救助した人は全員、ライフジャケットを着用していなかったという。

捜索活動には沿岸警備隊の巡視艇、海軍のフリゲート、軍用機、空軍のヘリ、民間船、欧州国境沿岸警備機関(Frontex)が参加した。

人権団体は沿岸警備隊の怠慢が大量死を招いたと非難している。

ギリシャ首相府の報道官は16日、犠牲者に改めて哀悼の意を表し、「沈没の原因を究明する調査が進められている」と述べた。

政府は沿岸警備隊が移民船の救助を怠ったという一部メディアの報道を否定している。

沿岸警備隊は当初、この船から距離を取っていたと報告していた。

しかし、地元紙Kathimeriniは関係者の話として、「巡視艇はロープを使って漁船と連結し、乗組員の状況を確認できるようにした」と報じている。

船長とみられる男はイタリアに向かうと述べ、巡視艇の申し出を拒否。警備隊はロープをほどき、その場を後にしたとされる。

このやり取りは船が沈む3時間前に起きたとみられる。

首相府の報道官は16日、「沿岸警備隊はロープを使って巡視艇と連結し、乗組員が助けを求めているかどうかを確認した」と説明した。

また報道官は「巡視艇は漁船を係留していない」と強調した。「乗組員は支援を拒否し、イタリアに行く、助けはいらない。と言い航海を続けました...」

報道によると、警察は人身売買に関与したとされるエジプト人ら9人を逮捕した。

先月の議会選で大勝した中道右派のミツォタキス政権を支持する有権者はこの事故を冷めた目でみている。

ツイッターにも人権団体を非難するコメントが多数寄せられているようだ。

あるツイッターユーザーはこう書いている。「どうしてギリシャやイタリアなの?自分の国で幸せに暮らしてください。あなたたちの支援には税金が使われているのですよ」

2015年のシリア難民危機の際には100万人近くがトルコからギリシャに渡ったとされる。ギリシャ政府は2019年に海上パトロールを強化し、レスボス島などにたどり着く移民の数は激減した。

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