ドイツ極右AfD、州政府樹立に苦戦、先月の選挙で歴史的勝利も
最大の障害となっているのが、主要政党がAfDとの協力を拒む「防火壁(ファイアウォール)」と呼ばれる政治的慣行だ。
」のワイデル党首(左)とジークムント氏(AP通信).jpg)
ドイツ東部ザクセン・アンハルト州で9月6日に行われた州議会選挙で、極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は歴史的な勝利を収めた。しかし、選挙から1カ月が過ぎても、AfDは州政府を発足できずにいる。州議会で83議席中39議席を獲得したものの、過半数には3議席届かなかったためだ。
州首相候補のジークムント(Ulrich Siegmund)氏は、12月に予定される州首相選出の投票までに他党からの支持を取り付けたい考えを示している。しかし、これまでのところ連立相手は見つかっておらず、他党議員の離党や造反も確認されていない。AfDにとって、選挙で最大勢力となることと、実際に行政権を握ることの間には大きな壁が残っている。
最大の障害となっているのが、主要政党がAfDとの協力を拒む「防火壁(ファイアウォール)」と呼ばれる政治的慣行だ。AfDは移民政策への強硬姿勢を強め、東部地域を中心に支持を拡大してきたが、既成政党の多くはAfDとの連立や政策協力を拒否している。州議会の初会合が開かれた10月6日には、マクデブルクの議会議事堂前に約400人が集まり、「極右との協力反対」と訴える抗議活動も行われた。
一方、AfDは州議会議長の選出では象徴的な成果を得た。党所属のトビアス・ラウシュ(Tobias Rausch)氏が48票を獲得して議長に選出され、AfD議員が州議会で最高位の役職に就く初めての例となった。ラウシュ氏の選出には、左派ポピュリスト政党BSWの5議員に加え、他党の議員も投票したとみられている。
BSWは移民抑制やロシアとの関係改善を主張する点でAfDと共通する部分があるものの、連立は否定している。同党が州首相選を棄権すれば、AfDが少数政権を発足させ、BSWが事実上支える形も考えられる。ただ、ジークムント氏は少数政権ではBSWへの依存が強まるとして慎重な姿勢を示している。
AfDが政権を樹立するためには、「防火壁」を突破する必要がある。州政府を握れば、AfDにとって選挙での躍進を実際の行政権力へ転換する大きな一歩となる。一方、支持を得られなければ、再選挙に進む可能性も浮上しており、ザクセン・アンハルト州の政局はドイツ全体の政治情勢を左右する重要な局面を迎えている。
