◎これは外国から資金の20%以上を得ているメディアやNGOを「影響力のある団体・組織」に指定し、必要書類の提出を求めるものである。
2024年5月14日/ジョージア、首都トビリシの国会近く、外国エージェント法案に抗議するデモ隊(AP通信)

ジョージアの首都トビリシで14日、物議を醸す外国エージェント法案に抗議するデモが激化し、少なくとも13人が逮捕された。

現地メディアによると、国会議事堂近くの通りでは怒号が飛び交い、一部の暴徒が機動隊にとびかかったという。

地元テレビ局は通称「ロシア法」が賛成84ー反対30で可決されたと速報で報じた。その直後、国会前で暴徒と機動隊が衝突し、少なくとも13人が逮捕された。

報道によると、数人が頭に切り傷を負ったり、警棒で殴られて負傷したという。

怒れるデモ隊は国会前のバリケードを取り払おうとしたが、機動隊に押し戻された。

デモは日暮れ後に拡大し、数千人が国会から約2キロ離れた広場まで行進。通りを封鎖した。

政府与党は昨年、外国エージェント法案の採決を目指したものの、抗議デモが激化したことを受け、断念した。

これは外国から資金の20%以上を得ているメディアやNGOを「影響力のある団体・組織」に指定し、必要書類の提出を求めるものである。

政府与党は先月、この法案の内容の一部とタイトルを見直して国会に再提出。地元メディアによると、内容は昨年のものとほぼ同じだという。

政府はこの法案について、政治情勢の不安定化を画策する外国勢力を阻止するために必要と主張。野党、メディア、人権団体、EUの執行機関である欧州委員会はロシアが同様の法律で反体制派を弾圧していることから、これに強く反対している。

野党の一部議員はこれを「プーチン臭い法律」「ロシア奴隷法」などと呼んでいる。

欧州理事会のミシェル(Charles Michel)常任議長は14日、「EUに加盟したいのであれば、法の支配と民主主義の基本原則を尊重しなければならない」と声明を出した。

米ホワイトハウスのジャンピエール(Karine Jean-Pierre)報道官もこの法案に懸念を示し、「民主主義の価値観に反し、ジョージアをEUの価値観からさらに遠ざけることになる」と述べた。

またジャンピエール氏は「NATOの加盟候補国であることも忘れてはならない」と強調した。

親欧米派のズラビシュヴィリ(Salome Zurabishvili)大統領は法案が国会を通過した場合、拒否権を行使すると表明。しかし、国会は過半数の賛成でこれを覆すことができる。

ジョージアとロシアの関係は2008年の南オセチア紛争で崩壊。ロシアはこの紛争で南オセチアとアブハジアの分離主義勢力を支援し、ジョージアを3分割した。

それ以来、ロシア軍の支援を受ける分離主義者がこの両地域を実効支配している。

両地域はジョージアからの独立を一方的に宣言。ロシアはこれを承認したが、国連は認めていない。

政府与党はロシア寄りの姿勢を示しながらも、EUとNATOへの加盟を目指すと主張している。

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