◎チャド政府は先月末、国家の主権を再定義するため、旧宗主国であるフランスとの防衛協定を終了すると発表した。
フランス軍は10日、アフリカ西部・チャドの首都ンジャメナに駐留する空軍のミラージュ戦闘機2機がフランス東部の空軍基地に戻ったと明らかにいた。
それによると、ミラージュ2000D戦闘機2機はチャド軍との式典を終え、ンジャメナの基地を10日昼過ぎに離陸し、フランス東部の空軍基地に戻ったという。
チャド政府は先月末、国家の主権を再定義するため、旧宗主国であるフランスとの防衛協定を終了すると発表した。
チャドはサヘル地域でフランスが大規模な軍事的プレゼンスを維持している同盟国のひとつであり、長年にわたりイスラム過激派と戦ってきた。
軍事政権が統治する隣国のマリ、ブルキナファソ、ニジェールはフランスとの関係を断ち、ロシアに接近。ロシアは広大なサヘル地域に民間軍事会社ワグネルや正規軍の兵士を配置し、イスラム過激派を掃討している。
フランス軍の報道官はミラージュがチャドを離れたことを確認したが、同国に駐留する1000人規模の部隊をいつどのように撤退させるかは明らかにせず、「チャド当局との協議が続いている」とした。
チャド外務省は10日の声明で、「フランスの地上部隊は今後数週間かけて徐々に撤退する」と述べた。
チャド政府はこの決定を「転換点」であるとし、「チャドが国家の優先事項に沿って戦略的パートナーシップを再定義することを可能にする」としている。
またチャド政府はフランスとの歴史的な結びつきを疑問視するつもりはなく、他の分野での関係維持を望んでいるという。