フィンランドのフェイクニュース対策は幼稚園から始まる
首都ヘルシンキ北部の小学校では4年生の児童がフェイクニュースを見抜く授業を受けている。
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フィンランド政府はフェイクニュース対策を幼稚園から始める教育プログラムを展開しており、子どもたちに情報を見極める力を育てる取り組みが注目されている。同国では長年にわたりメディアリテラシー教育を国の教育課程に組み込み、幼児からメディアの種類を分析し、誤情報を識別する能力を養う教育を進めている。この教育はプロパガンダや虚偽情報に対する抵抗力を高めることを目的としており、特に1340キロ近くに及ぶロシアとの国境を意識した対策とされる。
首都ヘルシンキ北部の小学校では4年生の児童がフェイクニュースを見抜く授業を受けている。授業では画面に表示された「事実か虚構か」の問いに対して、生徒が判断を試みるなど、実践的な学習が行われている。10歳の児童は「少し難しい」と率直な感想を語っているが、こうした訓練を通じて批判的思考力を身につけているという。教員は、生徒たちはすでに数年前から見出しや短い文章を読んでフェイクニュースに気づく方法を学んでおり、現在は人工知能(AI)によって生成された画像や動画を見極める方法についても学習を進めていると説明している。
フィンランドのメディアも教育支援に積極的で、毎年「新聞週間」を開催し、若者に向けて新聞やニュースを配布する取り組みを行っている。また、2024年にはヘルシンキに拠点を置く大手紙が「メディアリテラシーABCブック」を制作し、高等教育に進む15歳全員に配布した。このような活動を通じて、検証された信頼できる情報に触れる機会を提供している。新聞社の責任者は、「信頼できる情報を透明性のある方法で提供する場所として認識されることが非常に重要だ」と述べている。
メディアリテラシー教育は1990年代からフィンランドの教育課程の一部として定着、高齢者向けの追加講座も提供されている。こうした取り組みの成果として、人口560万人の同国はヨーロッパ・メディア・リテラシー指数で常に上位にランクされている。この指数は2017年から2023年にかけてブルガリアの研究機関がまとめたもので、国民の情報リテラシーの高さを示す指標となっている。
フィンランド教育相は、現代が大量の誤情報にさらされ、民主主義の基盤が偽情報によって挑戦を受けていると指摘し、これまで想像していなかった情報空間の現実を踏まえた教育の重要性を語っている。一方でAI技術の進化が進む中で、現時点ではAI生成の偽情報を比較的容易に見抜けるとしても、将来的な技術の発展により判別が困難になる可能性を専門家は指摘している。そのため教育者や専門家は、子どもだけでなく一般市民にも事実と虚構を見分ける力を身につけさせるための教育推進を急いでいる。
こうした動きはフィンランド社会全体の民主主義防衛戦略の一環として位置づけられており、情報化が進む現代において、次世代を担う子どもたちに正確な情報の見極め方を教えることが国家安全保障と市民社会の強化につながるとの認識が広がっている。
