◎英国人のアスリン氏とピナー氏、モロッコ人のブラヒム氏はウクライナ軍の一員として作戦に従事し、捕虜になった。
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)は10日、ウクライナ東部ドネツク人民共和国の裁判所が英国人2人とモロッコ人1人に死刑を宣告したことについて、「戦争犯罪に相当する」と断じた。
英国人のアスリン(Aiden Aslin)氏とピナー(Shaun Pinner)氏、モロッコ人のブラヒム(Saaudun Brahim)氏はウクライナ軍の一員として作戦に従事し、捕虜になった。
ドネツク人民共和国の裁判所は9日、3人を傭兵として活動した罪などで死刑に処すと宣告した。3人は銃殺刑に処される可能性がある。
OHCHRの報道官は10日、親ロシア国家の裁判所は公正公平を保証しておらず、「判決は戦争犯罪に相当する」と非難した。
また報道官は、「ウクライナ当局は3人をウクライナ軍の一員とみなしており、事実であれば、3人を傭兵とみなすべきではない」と指摘した。
「自称共和国の裁判所が公正な裁判を保証していないことは明らかです...」
ウクライナ東部のテロ国家であるドネツク人民共和国とルガンスク人民共和国はロシアの侵攻に加担し、ロシアへの編入を目指しているとみられる。
英国人のアスリン氏とピナー氏は南部の港湾都市マリウポリの部隊に従軍していたが、4月に投降した。ブラヒム氏は3月に東部地域で投降した。
ドネツクの分離派メディアによると、3人は権力奪取の企てやテロ活動を行うための訓練など、ドネツク人民共和国の法規範4条に違反した罪で起訴されたという。
裁判所は3人を傭兵と呼び、戦争捕虜に与えられる資格はないと主張した。
英BBCニュースによると、英国人2人の家族は「2人はウクライナ軍に所属していた」と述べている。
ブラヒク氏の家族もモロッコメディアのインタビューの中で、「息子は傭兵でなく、ウクライナの市民権を持っている」と説明した。
イギリス政府はロシアに自称共和国の裁判の責任を負うよう求めている。
BBCによると、トラス(Liz Truss)英外相はウクライナのクレバ(Dmytro Kuleba)外相とこの問題について協議する予定だという。
イギリス政府はロシアと協議するかどうかは明らかにしていない。またイギリスはドネツク人民共和国の独立を認めていないため、公式に連絡を取る手段がない。
ロシア外務省のザハロワ(Maria Zakharova)報道官は10日、イギリスの政府の反応を「ヒステリック」と呼んだ。