イエメン・アデン空港が閉鎖、サウジ・UAEの対立激化で
アデン空港は親イラン組織フーシ派の支配地域外にあり、乗客らは便の運航情報を求めてターミナルに集まるなど混乱が広がった。

イエメン南部のアデン国際空港で1月1日、全ての便が運航を停止した。アデン空港は親イラン組織フーシ派の支配地域外にあり、乗客らは便の運航情報を求めてターミナルに集まるなど混乱が広がった。今回の空港閉鎖はサウジアラビアとアラブ首長国連邦(UAE)との関係悪化が背景にあり、内戦が続くイエメン情勢をさらに複雑にしている。
ロイター通信によると、アデン空港の運航停止はUAEへのフライトに対する制限を巡る対立が発端となった。サウジがアデン発着のUAE便に対し、すべてサウジ国内での追加点検を義務付ける措置を導入したとされ、運輸当局はこれを事実上の「空域封鎖」と非難した。この方針に反発した運輸省は全面的な空港閉鎖を指示し、全便の運航が停止されたとみられる。一方、サウジ側は制限措置はUAE便のみを対象としたもので、イエメン政府が緊張緩和を図るために導入したとしているが、責任の所在をめぐって両者の主張が食い違っている。
この対立の背景には、サウジとUAEが長年続くイエメン内戦で異なる勢力を支援してきた事情がある。UAEは南部の主要勢力である南部暫定評議会(STC)を支援。STCは先月、南部の広い地域を掌握した。これに対し、サウジは国連の承認を受けるイエメン政府を支援し、STCの動きを安全保障上の脅威と見なしている。今回の空港を巡る混乱は、この対立が直接的な対立として表面化したものだ。
STCはUAEの支援を受けて運輸省を掌握しているとされ、今回の運航停止措置もこの勢力の意向が反映されたものとの分析が出ている。STC側は「突然の新規制」によるものだとしてサウジ側の対応を非難しているが、公式な空港閉鎖指示については運輸省内部でも異なる見解があるとの指摘もある。サウジ外務省はこの件についてコメントを出していない。
アデン空港の閉鎖は旅客だけでなく、医療搬送や人道支援を必要とする人々にも深刻な影響を与えている。空港利用者の一人は、治療のためエジプト・カイロ行きの便を待つ中で「困難な状況にある」と語り、先行きへの不安を示した。
この空港停止はサウジとUAEとの間でここ数日間に急速に悪化した関係を象徴する出来事となった。サウジはUAEがSTCを支援し、同国国境に向け勢力を広げようとしていると非難、これに対してUAEは連合軍に参加する部隊をイエメンから撤退させる方針を打ち出した。これらの動きは、ともに湾岸地域の安全保障環境を不安定化させ、イエメン内戦の行方にも影響を及ぼす可能性があるとして国際社会の懸念を呼んでいる。
今回の空港閉鎖を契機に、イエメン情勢はさらに混迷を深める恐れがあり、民間人への被害や地域の安全保障リスクが高まるとの指摘もある。各国や国際機関による外交的な調停と緊張緩和が求められているが、現地では依然として政治的対立が続いている。
