◎23日の逆転劇は西側諸国に衝撃を与え、女子生徒たちは涙を流し、首都カブールでは少女たちの小規模な抗議デモが発生した。
2021年11月25日/アフガニスタン、ヘラートの女子高(Petros Giannakouris/AP通信)

米国務省は25日、アフガニスタンのタリバンが6年生以上の女子生徒の就学再開を覆したことに改めて失望を表明し、カタールで予定されていたタリバン当局者との会議を中止したと明らかにした。

アフガニスタンの教育省は21日、女子生徒を含む国内のすべての学生の就学を23日から再開すると発表したが、就学再開から数時間後に決定を覆し、6年生以上の女子生徒を学校から排除した。

西側諸国はこの決定に失望し、人道団体はアフガニスタンへの援助を再開する交渉に影響を与えかねないと懸念を表明した。

米国務省の報道官は、「我々は何百万ものアフガニスタンの家族と共に、女子生徒の中等教育再開を認めないタリバンの決定に深い失望を表明する」と述べた。

また報道官は、「ドーハ(カタールの首都)で予定されていたドーハ・フォーラムなど、いくつかの会議をキャンセルし、この決定が米国の関与に影響を与えるとタリバンに通知した」と説明した。

23日の逆転劇は西側諸国に衝撃を与え、女子生徒たちは涙を流し、首都カブールでは少女たちの小規模な抗議デモが発生した。

人道支援団体や著名な活動家もタリバンの決定を却下し、速やかに考えを改めるよう要請した。

2014年にノーベル平和賞を受賞したマララ・ユスフザイ氏はツイッターに、「タリバンは約束を守らなかった」と投稿した。

米国務省の報道官は、「タリバンがこの決定を速やかに撤回しなければ、アフガニスタンの人々、国の経済成長の見通し、そして国際社会との関係を改善しようとするタリバンの野心はひどく傷つくだろう」と警告した。

米国、イギリス、カナダ、フランス、イタリア、ノルウェーの外相とEUの高官は24日の共同声明で、タリバンの決定はアフガニスタンに対する国際社会の支援再開に向けた取り組みを損なうと指摘した。

アルジャジーラによると、この決定は保守派の精神的中心地である南部の都市カンダハールで22日に行われた会議の後に下されたという。会談の詳細は明らかにされていない。

女子生徒たちは7カ月ぶりに通学できることを心から喜び、再開初日に学校から去るよう命じられ、絶望した。

一方、米国とタリバンの間で予定されていた会議は、アフガニスタン中央銀行の外貨準備の取り扱いや、同国の紙幣の問題などについて話し合う予定だった。

またアルジャジーラによると、外貨準備の凍結を解除する方法や、現在世界銀行の信託基金に保管されている数億ドルの一部を教育部門に充当することなども議論の対象になっていたという。

バイデン大統領はアフガン中央銀行の資産70億ドル(約8,000億円)のうち35億ドルを9.11遺族の支援に充てる大統領令に署名している。残りの35億ドルは国連管理の信託基金としてアフガン国民の援助に充てられる予定だが、アフガン中央銀行がタリバンの影響を受けないと確約できるのであれば、同行に戻される可能性もある。

9.11の遺族はアフガン中央銀行の資産をすべて補償に充てるよう裁判所に求めている。同行は約90億ドル(1兆円)の資産を海外に保有しており、残りの20億ドルは主にドイツ、UAE、スイスにある。

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