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米国、シリア軍にクルド支配地域への進攻停止求める

現地では国軍とクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」との間で戦闘が発生し、緊張が高まっている。
2026年1月17日/シリア、北部アレッポ、SDFの戦闘員(ロイター通信)

米国は17日、シリア北部で政府軍がクルド支配地域に向けて前進していることを受け、暫定政権に対し、進撃の停止を強く求めた。現地では国軍とクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」との間で戦闘が発生し、緊張が高まっている。

国軍はここ数日、ユーフラテス川西岸周辺の村々や戦略的地点に部隊を集結させ、SDFに対し、同川を越えて東岸側へ撤退するよう圧力をかけていた。SDFは「善意のジェスチャー」として一部地域からの撤退を始めたが、撤退合意には含まれていないとする町や油田地域まで国軍が進出したとして、非難している。

米中央軍(CENTCOM)は声明でシリア軍に対し、北部アレッポとその周辺地域への攻撃行動を直ちに停止するよう求めた。これらの地域はユーフラテス川に近く、油田など戦略資源が点在する重要エリアである。

これに先立ち、SDFは撤退を進める中で、合意に含まれていない地域に国軍が進出したとして激しく反発。一部地域で小規模な衝突が発生し、双方に死傷者が出たと報じられている。米主導の有志連合軍の航空機が現場上空を飛行し、警告フレアを投下したとの情報もある。

一方、主要な撤退対象地域や周辺のアラブ系住民の多い村々ではSDFの撤収後、国軍が反撃を受けることなくに進駐し、市民から歓迎される場面も見られた。住民は長年の紛争に疲れ果て、「これ以上の流血は望まない」と語る者もいるという。

国営石油会社は北東部の油田地域が国軍の手に落ちたことを明らかにし、再稼働の準備が進められていると報告した。これら油田はSDFが長年管理してきた重要な経済資源であり、政府側の支配拡大にとって大きな意味を持つ。

SDFは撤退後、東方や油田地域での戦闘準備を進める構えを示し、これらの地域は撤退協定には含まれていないとする立場を崩していない。SDF指導部はこれら地域を守る意向と強調し、戦闘継続の可能性も示唆している。

米国はこの危機を受け、緊張緩和に向けた外交努力を進めている。バラック(Tom Barrack)シリア担当特使はクルド側代表や指導者らと協議するため、アルビルで会談を行ったとされる。バラック氏は対話再開と暴力の回避を呼びかけているが、状況は依然として流動的だ。

シリアでは2024年末にアサド政崩が崩壊して以来、各地で権力の空洞化が続き、政府は国土の再統一を目指す一方、クルド側は自治権確保に固執して対立している。今回の緊張はこの根深い政治的対立を露わにした形となっており、地域の安定に向けた道のりは依然として険しい。

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