国連事務総長、ガザ人道財団(GHF)を非難「人命奪っている」

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は27日午後の時点で5万6331人、負傷者は13万2632人となっている。
2025年6月25日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部ラファの医療機関近く(AP通信)

国連のグテレス(Antonio Guterres)事務総長は27日、パレスチナ・ガザ地区南部で活動する米国主導のガザ人道財団(GHF)を批判し、「その支援活動は極めて危険であり、人命を奪っている」と糾弾した。

グテレス氏は国連本部の記者団に対し、「危機的状況に置かれている市民を軍事化された区域に誘導することは危険であり、GHFの活動が人命を奪っていると言わざるを得ない」と語った。

GHFは米国とイスラエルが主導し、5月27日に配給所の運営を開始。それ以来、この配給所付近で550人以上のパレスチナ人が殺害され、4000人以上が負傷している。

グテレス氏はGHFの中立性を疑問視し、支援を提供するという名目で市民をイスラエル軍の監視下にある地域に集め、イスラム組織ハマスの戦闘員をあぶりだそうとしているように見えると指摘した。

またグテレス氏は多くの市民が食料を得るために南部への移住を強制されていると指摘。国連が支援活動を行えば、こういった問題も解決できるとした。

さらに、多くの子供が飢餓に直面していると警告。占領国であるイスラエルはパレスチナ人を守る義務を負っていると強調した。

そして、国際社会に対し、ガザでの停戦を実現するために勇気をもって必要な措置を講じるよう促した。

イスラエル外務省は27日、グテレス氏の発言を受け、「イスラエル軍は決して民間人を標的にしていない」と主張。「国連はハマスと手を組んで、GHFの活動を妨害しようとしている」とX(旧ツイッター)に投稿した。

イランとイスラエルの戦争は米国の仲介で停戦にこぎつけたが、ガザ紛争が終結する見通しは立っておらず、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦協議は完全に停滞しているように見える

イスラエル側は5月末にトランプ米政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めている。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案している。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は27日午後の時点で5万6331人、負傷者は13万2632人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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