◎スウェーデンとフィンランドは先月、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、NATO加盟を申請した。
2022年4月13日/スウェーデン、首都ストックホルム、アンデション首相(左)とフィンランドのマリン首相(Getty Images/AFP通信)

トルコ大統領府は25日、スウェーデンはNATO加盟に関するトルコの懸念に対処していないと声明を発表した。

大統領府の報道官によると、エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領はアンデション(Magdalena Andersson)首相との電話会談で懸念を伝え、スウェーデン政府に「拘束力のある約束」とテロとの戦いを強化する具体的なアプローチおよび姿勢の変化を求めたという。

またエルドアン氏はスウェーデンのNATO加盟申請について、「スウェーデン政府は現時点でトルコの懸念を解消するような具体的なイニシアチブを提供していない」とした。

スウェーデンとフィンランドは先月、ロシアによるウクライナ侵攻を受け、NATO加盟を申請した。

しかし、NATO加盟国の中で米国に次ぐ軍隊を保有するトルコは、この両国がトルコでテロ組織に指定されているクルド労働者党(PKK)などの組織を保護していることなどを理由に加盟に反対している。

米国とEUもPKKをテロ組織に指定している。

オスマン帝国時代から続くトルコ人とクルド人の紛争は1980年代に本格化し、数万人が死亡したと考えられている。クルド人は1950年代に欧州に渡り、コミュニティを形成した。

エルドアン氏はスウェーデンとフィンランドに対し、トルコで指名手配されているクルド人を引き渡すよう要求している。

またエルドアン氏は、2019年のシリア北部に対する軍事侵攻をめぐって両国が課した武器輸出規制も合わせて撤廃するよう求めている。

スウェーデンとフィンランドの加盟要請とトルコの反対は、6月28日に開幕するNATO首脳会議(マドリード)の主要議題になると思われる。

トルコ大統領府は声明の中で、「エルドアン大統領はNATO事務総長とも電話会談を行い、トルコの要求を改めて伝えた」と述べている。

2022年3月24日/ブリュッセルのNATO本部、トルコのエルドアン大統領(Markus Schreiber/AP通信)
スポンサーリンク