◎和平交渉は先月初めに何とか再開したが、アフガニスタン全土で暴力が急増したため、双方は互いを非難し、交渉は停止した。
EPA通信/アフガニスタン

先月初めに再開されたアフガニスタン政府とタリバンの和平交渉の行き詰まりに伴い、アメリカのジョー・バイデン大統領が米タリバン和平合意の見直しを計画していることから、タリバンは大混乱に陥っている。

アフガニスタン政府の交渉チームは今週、タリバンが交渉を再開しなかった場合、交渉チームをカタールから撤退させる可能性があると警告したため、イラン、ロシア、トルコなどへの訪問を予定していたタリバンの交渉チームの動きが活発になった。

和平交渉は先月初めに何とか再開したが、アフガニスタン全土で暴力が急増したため、双方は互いを非難し、交渉は停止した

交渉に関わるタリバンの当局者はAP通信の取材に対し、「アフガン政府はタリバンが現在の政治システムに加わり、停戦を宣言するよう要求した」と述べた。

しかし、政府の交渉担当者は、「交渉の場に戻ることを拒否したのはタリバン。彼らがテーブルに座らない限り、話は前に進まないだろう」と述べ、問題はタリバンにあると指摘した。

アフガニスタンのアシュラフ・ガニー大統領は、タリバンとの権力共有協定が現政権の力を弱める可能性があると考え、タリバンの要求を受け入れることに消極的になっていると伝えられている。

これに対し反政府派は、タリバンと個別に交渉する可能性のある国会議員委員会を発足し、「ガニー大統領は権力を維持するために和平交渉を停滞させている」と非難した。一方、ガニー大統領の支持者たちは、「委員会は大統領職を狙っている」と主張している。

米タリバン和平合意は、「タリバンがアルカイダなどのテロリストグループとの関係を放棄したうえで、アメリカやその他の同盟国を領土内で攻撃しないと保証した場合にのみ、すべての国際軍をアフガニスタンから撤退させる」と取り決めている。

政治アナリストのトレック・ファーハディ氏は、「アフガン政府とタリバンの和平が成立する可能性はほとんどないため、米軍を撤退させる前に政治的解決を図る必要がある」と強調した。

タリバンは今年5月の撤退期限以降も米軍およびNATO軍がアフガニスタン国内にとどまった場合、攻撃を強化すると脅迫している。

米タリバン和平合意が調印された昨年2月以来、タリバンは国際軍を攻撃していないが、バイデン大統領が合意の見直しを示唆したことに強く反発し、「アメリカは先制攻撃を行わないという約束を破った」と非難した。

これに対しアメリカは、「空爆はアフガニスタン治安部隊に対するタリバンの攻撃に対応したものだ」と主張を却下した。

米軍は昨年3月にタリバンを空爆している

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