シリア暫定政府、クルド系組織SDFとの会合不参加へ=国営メディア

暫定政府は3月、SDFと国家機関を統合することで合意に達したと発表。シャラア暫定大統領がダマスカスでSDFのアブディ司令官と会談した。
イラク北部に拠点を置く「クルド労働者党(PKK)」の支持者(ロイター通信)

シリア暫定政府はフランス・パリで予定されているクルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」との会合に出席しない。国営シリア・アラブ通信(SANA)が9日に報じた。

SANAは情報筋の話しとして、「暫定政府は旧アサド政権時代を復活させようとする勢力との交渉には関与しない」と伝えている。

暫定政府は3月、SDFと国家機関を統合することで合意に達したと発表。シャラア(Ahmed al-Sharaa)暫定大統領がダマスカスでSDFのアブディ(Mazloum Abdi)司令官と会談した。

この合意は14年にわたる内戦で分断された国を再統合し、シリアの4分の1を支配するクルド系勢力と政府の統合の道筋をつけることを目的としている。

この合意が履行されれば、その地域は中央政府の完全な支配下に置かれることになる。

しかし、SDFが国家機関とどのように統合されるかは明記されていない。

SDFは以前、組織単位で国家機関と統合すると主張。暫定政府は個人単位での統合を望んでいる。

SDFは米政府の支援を受け、シリアにおけるイスラム国(ISIS)との戦いで主導的な役割を果たしてきた。その先頭に立つのは「クルド人民防衛部隊(YPG)」で、トルコ政府はこれをテロ組織に指定している「クルド労働者党(PKK)」の同盟組織とみなしている。

フランス大統領府はSANAの報道に関するコメントを出しておらず、会合が行われるかどうかも不明である。

SDFは9日、暫定政府の支援を受ける民兵がクルド地域を22回以上攻撃したと明らかにした。

SDFは声明で、「このような侵略行為はこれまでの協議を危険にさらし、信頼を脅かす」と非難した。

トルコ政府はSDFがシリア暫定政府との統合協議で「時間稼ぎ」をしていると主張している。

SDFは昨年末、シリア北部のトルコ国境付近の領土を奪還するため、トルコ政府が支援する「シリア国民軍(SNA)」への攻撃を開始した。

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