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クルド系組織、シリア・アレッポからの撤退拒否、政府軍との戦闘続く

シャラア暫定政権は数日にわたる激しい衝突を受けて一方的に停戦を宣言し、SDFに撤退を求めたが、SDF側はこれを「降伏の呼びかけ」と断じた。
2026年1月9日/シリア、北部アレッポ県、国軍と民兵組織「シリア民主軍(SDF)」との戦闘が発生した地区(ロイター通信)

シリア北部アレッポで進行中の戦闘をめぐり、クルド人自治区の民兵組織「シリア民主軍(SDF)」は9日、暫定政権が提示した撤退要求を拒否し、各地区の防衛を継続する構えを示した。シャラア暫定政権は数日にわたる激しい衝突を受けて一方的に停戦を宣言し、SDFに撤退を求めたが、SDF側はこれを「降伏の呼びかけ」と断じた。

アレッポでは今週、国軍とSDF治安部隊との間で衝突が激化。暫定政権は停戦条件として、SDFを含むクルド勢力に対し、同市内から撤退し、北東部のクルド支配地域へ移動するよう求めた。しかし、クルド評議会は声明で、撤退要求を拒否し「我々の地区を守る」と明言した。クルド側は政府軍が激しい砲撃を行っていると非難している。

停戦は防衛省によって発表され、クルド勢力は9日の午前9時までに撤退すべきとされていたが、現地メディアによると、9日正午時点で撤退は確認されていない。

この衝突は2011年に内戦が始まって以降、独自の自警団と自治体制を築いてきたクルド勢力と、中央集権化を目指す暫定政権との間の深い溝を露呈している。衝突により少なくとも9人の民間人が死亡し、14万人以上が避難を余儀なくされているとみられる。戦闘員の死傷者数は双方とも発表していない。

米国は対イスラム国(ISIS)作戦の一環として、長年SDFを支援してきた。最近では停戦延長と対話の深化に向けた努力を強めている。米国のバラック(Tom Barrack)シリア担当特使は一時的な停戦を歓迎し、週末にかけて「より持続的な平穏と深い対話」への進展を期待するとの意向をX(旧ツイッター)で表明していた。米国はSDFと暫定政権との統合を促進する枠組み合意を2025年3月に取りまとめたが、その後の進展は乏しい。

この合意ではSDFが国軍に統合されることが目標とされたが、期限の2025年末までに実現せず、緊張が続いている。また隣国トルコはSDFをトルコ国内で活動するクルド労働者党(PKK)と結び付けてテロ組織と見なし、クルド側が合意を履行しない場合には軍事的対応も辞さないとの姿勢を示している。

クルド勢力は2000年代以降、北部シリアの広範な地域でクルド人民防衛部隊(YPGを中心に自治的な統治を進め、ISISとの戦いでも主要な役割を果たしてきた。しかし、現在の衝突は、自治権をめぐる政府との対立が再燃した形となっており、地域の安定化を目指す米国やフランスなど西側諸国にとっても大きな外交的課題となっている。

トルコ政府は停戦発表前、SDFの撤退を通じてアレッポ情勢が正常化されることを望むと表明。地域情勢は今後も国際的な関与と軍事的緊張が入り混じる形で推移する可能性がある。

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