イスラエル軍、イランの原子炉建設現場を空爆=IAEA

IAEAによると、今回攻撃を受けた重水炉は核兵器に転用可能なプルトニウムを容易に生産できる能力を有しているという。
2025年6月19日/イラン、首都テヘラン郊外(AP通信)

国際原子力機関(IAEA)は19日、イスラエル軍がイランの原子力施設を空爆し、未稼働の重水炉が被害を受けたと明らかにした。

重水炉は減速材に重水を用いる原子炉。重水は軽水よりも中性子を吸収しにくいため、燃料効率が良いという特徴がある。

IAEAは声明で、「イスラエル軍はまだ運転を開始していないイラン西部アラクの重水研究炉の建設現場を攻撃し、重水炉を損傷させた」と述べた。

イスラエル軍は12日夜、イランの核施設と軍事施設に対する攻撃を開始。戦闘機で100か所以上を攻撃した。

イランはこれに報復。テルアビブやエルサレムなどに約100発のミサイルを発射した。

イスラエル軍は先制攻撃に踏み切った理由について、▽イランが核兵器保有を推進していること▽数千発の弾道ミサイルを保持していること▽中東各地の代理勢力への武器と資金の提供を挙げ、これらの脅威を取り除くことと説明している。

イランは国軍のバゲリ(Mohammad Bagheri)参謀総長や革命防衛隊(IRGC)のサラミ(Hossein Salami)司令官ら複数の高官ほか、元原子力庁長官や著名な核科学者6人が死亡したことを確認している。

イスラエルは先制攻撃以来、複数の核施設を攻撃してきた。

IAEAによると、今回攻撃を受けた重水炉は核兵器に転用可能なプルトニウムを容易に生産できる能力を有しているという。

2015年のイラン核合意に基づき、同施設は拡散リスクを軽減するため再設計され、厚さ数メートルのコンクリートで覆われた。

イランはIAEAに対し、この重水炉が2026年に運転を開始すると通知していた。

IAEAは声明の中で、「建設中の重水炉が攻撃を受けたとの情報を得た。同炉は運転中でなく、核物質も含まれていなかったため、放射能漏れの心配はない」と述べた。

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