◎ネタニヤフ氏は閣議に先立ち、記者団に「テロとの戦いに全力を挙げる」と語った。
ヨルダン川西岸地区、イスラエルの治安当局者(ロイター通信)

イスラエルのネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は28日、東エルサレムでパレスチナ人が銃を乱射し市民少なくとも7人が死亡したことを受け、「テロには迅速かつ強力に対応する」と約束した。

事件は27日に発生。容疑者は東エルサレムのシナゴーグ前で銃を乱射し、その後イスラエルの治安部隊に射殺された。

イスラエル軍は26日にヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプを急襲し、民間人を含むパレスチナ人9人を射殺していた。

ネタニヤフ氏は閣議に先立ち、記者団に「テロとの戦いに全力を挙げる」と語った。

またネタニヤフ氏はヨルダン川西岸で活動する部隊の戦力を強化すると述べた。

シナゴーグの銃乱射事件後に発生した別の衝突事件には13歳のパレスチナ人が関与したと伝えられている。容疑者は礼拝に向かう5人を襲撃し、このうち2人が重体とされる。13歳の少年は通行人に撃たれ、病院に搬送された。

シナゴーグ前で銃を乱射した容疑者は1月27日の「ホロコースト犠牲者を想起する国際デー」に合わせてテロを強行したと考えられている。

イスラエル警察は事件後、パレスチナ人武装勢力の構成員とされる42人を逮捕した。

ガザ地区を実行支配するイスラム過激派組織ハマスはシナゴーグ襲撃を称賛したが、犯行声明は出していない。昨年イスラエル軍と衝突した過激派「イスラム聖戦」も声明は出していないようだ。

ネタニヤフ氏は事件後、市民に平静を求め、治安部隊に過激派の取り締まりを徹底するよう促した。軍は別の声明で、「ヨルダン川西岸に追加の部隊を派遣する」と明らかにした。

ネタニヤフ氏は「すべてのイスラエル人にお願いする。テロリストのように法を犯してはならない」と強調した。

イスラエル軍の26日の取り締まり後、緊張が高まっている。取り締まり後、ガザ地区からロケット弾が発射され、イスラエル軍は空爆で応戦した。

人権団体によると、ヨルダン川西岸地区で今年1月に殺害されたパレスチナ人は30人に達したという。

パレスチナ自治政府のアッバス(Mahmoud Abbas)議長はジェニンの取り締まり後、イスラエルと結んだ安全保障協定を一時停止した。

一方、ウクライナのゼレンスキー(Volodymyr Zelensky)大統領はシナゴーグの犠牲者にウクライナ人女性が含まれるとツイート。テロを厳しく非難した。

バイデン(Joe Biden)米大統領は28日、ネタニヤフ氏と電話会談を行い、あらゆる適切な支援を提供すると約束した。

事件後、ネタニヤフ氏の与党「リクード」と連立を組む超国家主義政党「ユダヤの家」のベン・グヴィル(Itamar Ben Gvir)治安相も現場を視察し、攻撃を糾弾した。

ベン・グヴィル氏は先月の就任演説でイスラエルの治安と安全を取り戻すと約束したが、多くの市民が暴力の応酬に歯止めがかからなくなると懸念している。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争で東エルサレムやヨルダン川西岸などを占領し、130以上の入植地を建設。国際社会はこの占領を認めていない。

2021年5月16日/パレスチナ、ガザ地区、イスラエル軍の空爆(Getty Images/AFP通信)
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