◎ネタニヤフ氏率いる超国家主義者たちは選挙で選ばれた議員より最高裁の判決が優先されることに不満を表明してきた。
2023年2月22日/イスラエル、エルサレムの国会、ネタニヤフ首相(中央)と閣僚ら(Ohad Zwigenberg/AP通信)

イスラエル議会は22日、物議を醸している司法制度改革法案を賛成多数で可決した。

ネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)首相は司法制度の見直しを政策の柱に掲げており、リベラル派で構成される最高裁の判決を覆す権限を議会に付与したいと考えている。

法律が施行されると、議会は過半数の賛成で最高裁の判決を覆すことができるようになる。

地元の活動家はこの法案を「さよなら民主主義法案」「腐ったバナナ法案」などと呼び、チェックアンドバランス(権力が特定の期間や部門に集中することをさけ、各部門間相互の均衡をはかること)が機能しなくなると非難している。

米政府、米国のユダヤ人協会、イスラエルのヘルツォグ(Isaac Herzog)大統領もネタニヤフ氏に対話と再考を求め、首都テルアビブでは数万人規模の抗議デモが続いている。

ネタニヤフ氏率いる超国家主義者たちは選挙で選ばれた議員より最高裁の判決が優先されることに不満を表明してきた。

超国家主義者たちによると、最高裁は民主主義を侵食し、選挙で選ばれた議員を蹂躙し、イスラエルの破滅を企てているという。

議会は今週初め、連立与党に最高裁判事の任命権を与え、「基本法」に基づく権限を最高裁から剥奪する法案の予備審議を終えた。

基本法は独立宣言と並んでイスラエルの憲法として機能し、同国を「ユダヤ人の祖国」と定義。民主主義を弱体化させると長年非難されてきた。

地元メディアによると、基本法に反する法改正案を取り消すためには最高裁の「満場一致」が必要であり、議会は基本法に違反する場合でも、最高裁の影響を受けずに法案を可決できる。

この法案は議会委員会の承認を経て法制化される。

ネタニヤフ氏は詐欺、背任、収賄の疑いで公判中だ。一部のアナリストはネタニヤフ氏が有罪判決を受けても議会でこれを覆すことができると指摘している。

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