◎ベネット首相はハイテク産業で巨万の富を築いた生粋の超国家主義者であり、ユダヤ人の入植を支持し、パレスチナ国家の建設に強く反対している。
イスラエルのベネット(Naftali Bennett)首相は29日、今年の10月か11月に予定されている総選挙に立候補しないと発表した。
ベネット氏は先週、昨年発足した連立政権の解散を発表し、連立を組むイェシュアティド党のラピド(Yair Lapid)外相が数日中に暫定首相に就任すると発表していた。
ベネット氏は29日に放送されたテレビ演説の中で、「私は首相として、すべての国民を大切にするよう努めた」と語った。「私たちは異なる意見を持つ人々が共に働けることを証明したのです...」
首相府によると、ベネット氏は総選挙までラピド氏率いる暫定政府にとどまる予定だという。選挙は10月か11月に行われる予定。
ベネット氏は異なる意見を持つ人々が協力したと主張したが、ユダヤの超国家主義者とパレスチナ人の対立は悪化の一途をたどっているように見える。
ベネット氏はハイテク産業で巨万の富を築いた生粋の超国家主義者であり、ユダヤ人の入植を支持し、パレスチナ国家の建設に強く反対している。
ベネット氏は保守派のネタニヤフ(Benjamin Netanyahu)前首相のかつての盟友だが、ネタニヤフ政権に終止符を打つために、中道・左派・アラブ政党と手を組んだ。
極右・中道・左派・アラブで構成させるベネット政権は発足後もパレスチナ国家の建設に反対し続け、ガザ地区の対テロ作戦を推し進めつつ、ヨルダン川西岸に押し込まれたパレスチナ人の生活を改善する措置を講じた。しかし、停滞中の和平プロセスを再開すべきという西側の求めには応じなかった。
ベネット氏は何とか国をまとめようとしたが、左派とアラブ系の反発に直面し、さらに、自身の政党の議員にも三下り半を突き付けられ、解散を決断した。
一方、政権奪取を狙うネタニヤフ氏は左派やアラブ政党と同盟を結んだベネット氏を「裏切り者」と非難し、極右議員に再考を促し続けてきた。
ネタニヤフ氏率いる政党「リクード」はベネット氏の議会演説に怒号と罵声を浴びせ、何度も引退を勧告していた。
地元メディアも、政権が崩壊すればベネット氏は政界から退くと予想していた。
ベネット氏は演説の中で、自身の政党「ヤミナ」の党首には現内相のシャケド(Ayelet Shaked)氏が就任すると述べた。
ヤミナの混乱がネタニヤフ氏の政権奪取を後押しするかどうかは不明である。ヤミナが議席を失えば、ネタニヤフ氏とその他の極右政党は、かつての重要なパートナーを失うことになる。
<連立政権>
・イェシュアティド党:17議席
・青と白:8議席
・労働党:7議席
・イスラエル我が家:7議席
・ヤミナ:7議席(一部離党)
・新しい希望:6議席
・メレツ:6議席
・ラーム:4議席(アラブ派閥)
計62議席
<野党>
・リクード:30議席
・シャス:9議席
・トーラー・ユダヤ連合:7議席
・宗教シオニズム:6議席
・合同リスト:6議席
計58議席