イスラエル軍、ガザ全域を空爆、44人死亡、国連が水不足警告

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は19日午前の時点で5万5706人、負傷者は12万9901人となっている。
2025年6月20日/パレスチナ自治区、ガザ地区南部の食料配給所(ロイター通信)

イスラエル軍が19日、パレスチナ・ガザ地区南部や中部で地上作戦を展開し、過去24時間で少なくとも44人が死亡、数百人が負傷した。保健当局が明らかにした。

カタールの衛星テレビ局アルジャジーラは当局者の話しとして、南北を隔てるネツァリム回廊の南方でイスラエル軍の銃撃・空爆により、援助物資を待っていた市民少なくとも25人が死亡したと報じた。

南部で活動するガザ人道財団(GHF)は米国とイスラエルが主導し、5月27日に配給所の運営を開始。それ以来、この配給所付近で500人近くのパレスチナ人が殺害され、4000人近くが負傷している。

GHFは南部ラファやハンユニス、ネツァリム回廊の南方にも配給拠点を設置している。

イスラエル軍はネツァリム回廊での事件について、「兵士が群衆の中に隠れていた武装勢力に対し警告射撃を行った」と説明。その後、イスラエル軍機がミサイルを発射し容疑者を排除したという。

イスラエル軍は武装勢力以外の市民が負傷したことを認識しており、調査を行っていると述べた。

しかし、GHFはこの事件について、配給所周辺では何も起きておらず、何事もなく物資を配給したと主張した。

イスラエル軍はその他の地域でも空爆を継続中とみられる。

アルジャジーラによると、20日の空爆で少なくとも19人が死亡したという。そのうち12人はガザ中央部の避難所で爆発に巻き込まれた。

一方、国連児童基金(ユニセフ)は20日、スイス・ジュネーブの記者会見で、「ガザ地区の井戸が海水淡水化プラントの燃料不足により、干からびつつある」と警告した。

またユニセフはパレスチナ人が「人為的な干ばつ」に直面していると述べ、イスラエルに対し、国境封鎖を解除し、食料・飲料水・医薬品の搬入を認めるよう迫った。

GHFに対する国際的な批判が高まる中、イスラエルとイスラム組織ハマスの停戦協議は停滞している。

イスラエル側は5月末にトランプ米政権のウィトコフ(Steve Witkoff)中東担当特使が提示した停戦案を支持。ハマスは一部変更を求めている。

ウィトコフ氏は▽60日間の停戦▽ハマスの人質56人(遺体含む)のうち28人の解放▽1200人以上のパレスチナ人受刑者の解放▽ガザ地区への人道支援物資の搬入などを提案している。

ガザ紛争におけるパレスチナ側の死者は19日午前の時点で5万5706人、負傷者は12万9901人となっている。

多くのボランティアが行方不明者を捜索している。建物の倒壊に巻き込まれるなどして行方不明になった市民は1万~1万4000人と推定されている。

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