◎容疑者は現地時間午後9時頃に店内で銃を乱射し、逃走した。
2022年4月7日/イスラエル、首都テルアビブの中心部、銃撃事件が発生したバー(Ariel Schalit/AP通信)

イスラエル当局は7日、首都テルアビブの中心部にあるバーで男が銃を乱射し、少なくとも2人が死亡、7人が重軽傷を負ったと発表した。

イスラエル政府とパレスチナの緊張が高まる中、国際社会はこの3週間で4件目の銃撃事件が発生したことに懸念を表明している。

ガザ地区を支配するイスラム過激派組織ハマスは攻撃を称賛したが、犯行声明は出していない。

警察は容疑者の行方を追っている。テルアビブの中心部には数百人の警察官、警察犬、軍の特殊部隊が配備された。

ベネット首相は7日、治安当局のトップに増援を命じたと声明を発表した。

テルアビブ警察の報道官によると、容疑者は現地時間午後9時頃に店内で銃を乱射し、逃走したという。

報道官は記者団に、「テロ事件であることを示す兆候が見られるが、現時点でハッキリしたことは言えない」と説明した。

救急隊は30歳前後の男性2人が死亡したと報告している。負傷した7人のうち3人は重傷。

事件現場のディゼンゴフ通りでは2016年にも銃撃事件が発生している。イスラエルのアラブ系市民は同年1月、通りでイスラエル人2人を射殺した。

当局はラマダン期間中の緊張の高まりをある程度予想していた。

昨年のラマダン期間中にはエルサレムでパレスチナ人が抗議デモを繰り返し行い、11日間の紛争に発展した。

イスラエル、ヨルダン、パレスチナの指導者はここ数週間で何度か会議を開催し、イスラエルはガザ地区のパレスチナ人のために労働許可証を追加で発行するなど、緊張を緩和する措置を講じていた。

またイスラエル政府は7日、事件発生前にヨルダン川西岸の女性、子供、40歳以上の男性に対し、ラマダンの最初の礼拝(8日)に東エルサレムのアル=アクサー・モスクで礼拝することを許可すると発表していた。

アル=アクサー・モスクはイスラム教で最も神聖なモスクのひとつであり、ユダヤ人の丘の上に建っている。この聖地はイスラエルとパレスチナの暴力の火種になってきた。

イスラエルは近年、パレスチナ問題を脇へ追いやり、アラブ諸国と同盟を結んでイランに対抗することに注力している。この100年来の紛争は相変わらず難航している。

イスラエルは1967年の第三次中東戦争でガザ地区、シナイ半島、ヨルダン川西岸地区(東エルサレム含む)、およびゴラン高原を占領した。以来、ガザ地区とヨルダン川西岸地区に追いやられた数百万人のパレスチナ人はみじめな生活を送っている。

イスラエルはヨルダン川西岸にユダヤ人入植地を建設・拡大しているが、国際社会の大半はこれを違法とみなしている。

ハマスの報道官は7日、「(イスラエルの)中心部での英雄的な攻撃はシオニストの安全保障システムを破壊し、我が国民の能力を証明した」と声明を発表した。

先月末にはヨルダン川西岸地区の27歳のパレスチナ人がテルアビブ近郊の町でイスラエル人5人を射殺した。その2日前にはハイファ地区のハデラでISIS関連グループに影響を受けた2人が警察官2人を射殺。その前の週には、南部ベエルシェバでISISの支援者が人込みに車で突っ込み、ナイフで4人を殺害した。

ハデラとベエルシェバの攻撃はイスラエルに住むパレスチナ人の犯行だった。

地元メディアによると、容疑者とハマスのつながりは証明されていないが、何かしらの支援を受け、単独で犯行に及んだように見せかけている可能性が高いという。

2021年5月13日/イスラエル、エルサレムの旧市街、アル=アクサー・モスク(Mahmoud IlleanAP通信)
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