◎イランの支援を受けるイスラム聖戦はシリアの首都ダマスカスに本部を置き、ガザ地区で最も強力なテロ組織のひとつとみなされている。
パレスチナ自治政府は6日、イスラム過激派組織「イスラム聖戦」に対するイスラエル軍の空爆でこれまでに少なくとも24人の死亡を確認したと発表した。
イスラエル政府は「差し迫った脅威に対処する」という理由でガザ地区に潜伏するイスラム聖戦の拠点を空爆している。
保健省によると、死亡した24人のうち6人は子供だった。イスラム聖戦の戦闘員は数人死亡したと伝えられている。
イスラエル軍は6日、ガザ地区から発射されたロケット弾と迫撃砲が300発を超えたと報告した。ロケット弾の大半はイスラエル軍の防空システム「アイアンドーム」で撃墜されたとみられる。
今回の衝突は昨年5月のガザ紛争以来の規模となっている。昨年の紛争では両国合わせて200人以上が死亡した。
イスラエル軍は今回のイスラム聖戦に対する作戦（コードネーム：ブレイキング・ドーン）について、1週間ほど続く可能性があると警告している。
一方、イスラエルの治安当局によると、特殊部隊が空爆と並行してヨルダン川西岸地区で取り締まりを決行し、イスラム聖戦の戦闘員19人を逮捕したという。
ガザ地区は大混乱に陥り、イスラエルの主要都市でも空襲警報が鳴り響いた。イスラム聖戦のロケット弾がイスラエル領内に着弾したかどうかは不明。
パレスチナ保健省は6日、これまでに24人の死亡を確認し、200人以上が病院に搬送されたと報告した。
ロイター通信などによると、昨年の紛争でイスラエル軍と衝突したイスラム過激派組織ハマスは今回の戦闘には関与していないように見えるという。ハマスはガザ地区を実効支配している。
イスラエルメディアも、ハマスの拠点が空爆されたという情報は今のところないとしている。
ハマスの報道官は5日夜の声明で、「我々は対イスラエルにおいては団結しており、沈黙を守ることはない」と述べ、イスラム聖戦との連帯を表明した。
一部の専門家は、「ハマスはガザ地区の復興と昨年の紛争で失った兵器や要員を回復することに注力しており、参戦は望んでいない」と指摘している。
ただし、ガザ地区の死者が増加すれば、考えを変えるかもしれない。ハマスがイスラム聖戦に加担すれば、紛争の長期化と死者の増加は避けられないだろう。
イスラエル政府は今週初め、ヨルダン川西岸北部でイスラム聖戦の幹部を逮捕し、ガザ地区国境を閉鎖した。国境封鎖で物資の供給も途絶えたため、自治政府の生活環境はこの1週間で大幅に悪化した。
ガザ地区唯一の発電所を運営する電力会社は6日、燃料供給が滞ったため、発電所を閉鎖したと発表した。
イランの支援を受けるイスラム聖戦はシリアの首都ダマスカスに本部を置き、ガザ地区で最も強力なテロ組織のひとつとみなされている。
イスラエル軍によると、ガザ地区からイスラエルに向けて発射されたロケット弾・迫撃砲約300発のうち、約70発はイスラエル領内に届かず、ガザ地区に着弾したという。
イスラエル領空に到達したロケット弾の大半はアイアンドームで迎撃され、死傷者は出なかった。
イスラエル軍はイスラム聖戦の拠点約30カ所を空爆し、そのうち2カ所は武器庫、6カ所はロケット弾の製造施設と報告した。
イスラエルのラピド（Yair Lapid）首相は5日、ガザ地区に対する攻撃について、「イスラエルは差し迫った脅威に対処するための対テロ作戦を実行した」と述べた。
イスラエル軍はガザ地区の高層ビル「パレスチナタワー」を含むイスラム聖戦関連施設を空爆したとしている。
一方、イランの首都テヘランを訪問中のイスラム聖戦事務総長、アルナハラ（Ziyad al-Nakhala）氏は5日、イスラエル軍を非難し、「パレスチナの勝利に向けた戦いが始まる」と宣言した。
今回の紛争はイスラエル当局が1日遅くにヨルダン川西岸地区のジェニン難民キャンプでイスラム聖戦の幹部とみられる男を逮捕したことで引き起こされた。当局はこの男を含むテロリスト2人を逮捕したとしている。
イスラエル当局は幹部の自宅から武器や現金などを押収し、その後、イスラエル政府はイスラム聖戦が民間人や警察を攻撃する可能性があると警告したうえでガザ地区国境の保安対策を強化した。
イスラム聖戦は2019年11月、イスラエル軍がイスラム聖戦の司令官を殺害したことを受け、イスラエル領内にロケットを発射。5日間の紛争に発展し、パレスチナ人少なくとも34人が死亡、111人が負傷した。イスラエルでは市民63人が医療機関で治療を受けたと報告されている。
