イラン最高指導者「トランプ氏が抗議デモを扇動」緊張高まる
ハメネイ師はトランプ氏の発言や行動がイラン国内の混乱を助長し、数千人の死者や被害をもたらしたとして責任を問うと主張した。

イランの最高指導者ハメネイ(Ali Khamenei)師は17日、昨年末から続く大規模な反政府デモをめぐり、「トランプ(Donald Trump)米大統領がデモを扇動した」と強く非難した。ハメネイ師はトランプ氏の発言や行動がイラン国内の混乱を助長し、数千人の死者や被害をもたらしたとして責任を問うと主張した。これにより米国との緊張が一段と高まっている。
反政府デモは25年12月28日、物価高騰や経済的困難への不満から首都テヘランをはじめ全国各地に広がった。デモは当初、経済問題を訴えるものであったが、やがて指導部批判へと発展し、当局の厳しい弾圧を受けて激しい衝突が続いた。人権団体の報告によると、これまでの死者は3000人を超え、逮捕者も2万人を超えるとされている。
ハメネイ師は国営メディアの報道を通じて、トランプ氏がデモ参加者を「扇動、支援した」と非難し、「米国はイランに対する軍事的・政治的・経済的支配を目指している」と述べた。またトランプ氏が反政府勢力への支持を表明したことや、抗議が暴力的な展開となったことを例に挙げ、米国の関与が多数の死傷者を生んだと主張した。さらにハメネイ師は「我々は戦争を望まないが、国内外の”犯罪者”を見逃さない」と述べ、責任者に対する処罰の可能性を示唆した。
トランプ氏はこれまでの声明で、イラン当局が抗議者を処刑する場合には「非常に強い行動を取る」と警告していたが、最近ではイランが一部の処刑計画を中止したとして「敬意を表する」と述べるなど、当初の強硬姿勢から軟化した発言も見られた。米政府当局者は政権転覆を目指していることを否定しているが、トランプ氏の発言はデモの激化に影響したとの見方がある。
イラン国内では政府側がデモを「外国の扇動によるもの」と位置付け、参加者を「テロリスト」や「国家の敵」と呼ぶなど、厳しいレトリックが使われている。治安当局は反政府勢力として拘束した多くの人々を「モハレブ(神に敵対する者)」として扱い、死刑判決を含む重罰を示唆している。インターネットが遮断されるなど情報統制も強化され、政府側は抗議の収束を図っている。
一方、国際社会ではイラン当局の対応に対する批判や懸念が続いている。欧米の人権団体や国連関係者は抗議者の処遇や報道の自由の制限について懸念を表明し、透明性を求める声を上げている。米欧との外交関係は既に厳しい状況にあるが、ハメネイ師の非難発言は今後の外交的緊張をさらに深める可能性がある。
反政府デモは現在、一部で沈静化の兆しを見せているものの、国民の不満は根強く残っている。経済的困難に加え、政治的な自由を求める声は依然として強く、今回の抗議運動はイラン社会に深刻な影を落としている。
