◎スウェーデンのクルド人抗議者たちは今月、エルドアン大統領のマネキンを吊るし、コーランのコピーを焼いた。
トルコのエルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領は23日、スウェーデンの抗議デモ中にイスラム教の聖典コーランのコピーが燃やされた問題に言及し、「トルコがスウェーデンのNATO加盟を支持すると思わない方がいい」と警告した。
北欧のスウェーデンとフィンランドは昨年5月にNATO加盟を申請したが、トルコはまだ申請書を批准していない。NATO加盟には現加盟30カ国の承認が必要である。
スウェーデンのクルド人抗議者たちは今月、エルドアン氏のマネキンを吊るし、コーランのコピーを焼いた。
エルドアン氏は記者会見で、「期待しない方がいい」と述べた。「我が国の大使館前で蛮行を働いた者たちを支持する政府は、いかなる慈悲も期待できないと認識すべきです」
スウェーデン当局はデモ開催を承認したが、コーラン焼却を承認したわけではない。
エルドアン氏はデンマーク系スウェーデン人の極右指導者が主催したコーラン焼却を「表現の自由を盾にして守るべきではない」と主張した。
スウェーデン政府もコーラン焼却を非難している。
スウェーデンのビルストロム(Tobias Billstrom)外相はツイッターに投稿した声明で、「政府は言論の自由を保障するが、政府がコーラン焼却を承認したと考えるのは大きな間違いだ」と述べている。
ビルストロム氏は23日、エルドアン氏の発言に対し、「その意味を正確に理解したい」とツイッターに投稿した。「スウェーデン政府はスウェーデン・フィンランド・トルコの間で結ばれたNATO加盟に関する合意を尊重します...」
フィンランドは単独でNATOに加盟することはないと表明しており、加盟できるかどうかはスウェーデンにかかっている。
NATOのストルテンベルグ(Jens Stoltenberg)事務総長は22日、コーラン焼却に言及し、「NATO加盟国は表現の自由は重要であると考えており、これらの行為は不適切ではあるが、違法ではない」と述べた。
しかし、イスラム教徒が大多数を占めるトルコはデモを許可したスウェーデン政府に責任があると非難している。
エルドアン氏は会見の中で、「聖人(預言者ムハンマド)を辱める権利は誰にもない」と述べた。
一部の湾岸諸国もコーラン焼却に強く反発している。
トルコのアカル(Hulusi Akar)国防相は23日、スウェーデンのジョンソン(Pål Jonson)国防相のトルコ訪問が中止されたのは「不快な抗議デモに対して何の措置も取らなかったスウェーデン政府の決定に対処するものだ」と説明した。
ジョンソン氏のトルコ訪問は両国の緊張緩和につながると期待されていた。
トルコはスウェーデン政府に対し、トルコ国内でテロ組織に指定されているクルド労働者党(PKK)などの武装勢力の取り締まりや身柄引き渡しを要求している。
スウェーデンのクリステルソン(Ulf Kristersson)首相は先週、エルドアン氏のマネキンが吊るされたデモを「嘆かわしい」と非難し、デモを「NATO加盟を妨害する行為」と呼んだ。
しかし、トルコ政府は「非難だけでは足りない」とし、さらなる措置を求めている。