◎タリバンは8月15日に首都カブールを占領し、権力を掌握した。
12月30日、アフガニスタンのアシュラフ・ガニー前大統領は8月15日の首都陥落と逃亡劇の詳細を明らかにし、国際社会から寄せられた多くの非難を否定した。
タリバンは8月15日に首都カブールを占領し、権力を掌握した。
ガニー大統領は30日に放送されたBBCラジオのインタビューの中で、首都の放棄を決断する時間はほんの数分しかなく、現金数百万ドルを持ち逃げしたという非難をあらためて否定した。
米国を含む国際社会は国民、政府当局者、そして最前線で戦っていた兵士を顧みることなく逃亡したガニー前大統領を厳しく非難した。ガニー前大統領は現在、UAE(アラブ首長国連邦)で亡命生活を送っている。
ガニー前大統領はBBCに、「15日の朝まで庁舎から脱出することは考えていなかった」と述べた。
一方、ハーミド・カルザイ元大統領は今月初めに放送されたAP通信のインタビューの中で、「ガニーと平和評議会のアブドラ・アブドラ議長を含む政府高官は、首都の外にとどまると約束したタリバンとさらなる合意に達する機会を逸した」と述べ、政府の対応を非難した。
カルザイ元大統領は、「国防相に電話をかけ、主要閣僚らが庁舎から逃亡したことを知り、タリバンを政府庁舎に招待した」と語った。
しかし、ガニー前大統領は、タリバンの異なる2つの派閥がカブールに押し寄せてきたため、これ以上犠牲者を増やさないために逃亡を決断せざるを得なかったと主張した。「私は側近にカブールから離れるよう強く促されました。私と妻はしぶしぶ同意しました...」
ガニー大統領は、「安全保障補佐官に全員殺されると言われ、2分で脱出を決断せざるを得なかった」と主張した。「私は別の市に移動すると指示しました。しかし、補佐官は私が指示した市は敵の支配地域になったと言いました。その後、私は自分の行き先も知らぬまま車に乗り、飛行機に乗った時初めてアフガニスタンから離れることを認識しました。すべてが突然でした...」
アブドラ・アブドラ議長とアムルラ・サーレ前副大統領はリーダーの逃亡を「恥」と非難したが、ガニー大統領はアフガンの崩壊を米国のせいにした。「米国は2020年にタリバンと協定を結びました。その結果、私たちは和平プロセスではなく、撤退プロセスを選択せざるを得なくなりました...」
オバマ政権下で特別監察官を務めたジョン・F・ソプコ氏は歴代のアフガニスタン政府、外国とアフガン政府の請負業者の数十に及ぶ悪質な汚職を報告書にまとめ、厳しく非難した。
西側諸国がアフガニスタンの再建に提供した援助は数十億ドルにのぼる。米国は2001年のタリバン崩壊以来、再建に1,460億ドル(約17兆円)を費やしたが、今年8月のアフガンの貧困率は50%を超えていた。
ガニー大統領は国際的なパートナーシップを信頼すると述べたうえで、首都陥落につながったいくつかの問題について責任を負う用意はできていると約束した。
しかしガニー大統領は、「私の人生は破壊されました。私の価値観は踏みにじられました。そして、私はスケープゴートにされました」と述べ、逃亡は避けられなかったと強調した。