映画「ダークナイト」や「インセプション」などで知られるクリストファー・ノーラン監督は、パンデミック後に公開された「テネット(原題:TENET)」の興行収入から映画スタジオが誤った結論に至ることを恐れている。
テネットは8月の公開以降、世界で約3億5000万ドル(365億円)の興行収入を上げた。しかし、ここ数年の間に公開されたノーラン監督の作品は5億~10億ドル以上稼いでおり、それと比較すると明らかに少ない。
ノーラン監督はロサンゼルス・タイムズのインタビューの中で、スタジオが劇場公開するかどうかを検討する際、「テネットの結果が言い訳に使われる」ことを恐れていると述べた。
現在、一部の国を除く多くの映画館がコロナウイルスの影響で閉鎖されており、大作映画の公開は軒並み延期、もしくはストリーミング公開に移行している。
ノーラン監督は、ワーナー・ブラザーズがテネットの劇場公開を決断したと語った。同作はパンデミック後に公開された初の大作ハリウッド映画である。
ある映画製作者は、「テネットは想定以上の興行収入をあげた」「コロナ禍でも映画館はやっていけると証明した」と述べている。
しかし同時に、史上最高の収益を上げた2019年の映画業界の基準によって「厳しく評価されている」と懸念した。
ノーラン監督は取材の中で、「スタジオが私たちのリリースから間違った結論を導き出しているのではないかと心配している」と語った。
クリストファー・ノーラン監督:
「スタジオは映画を上手く機能させる、コロナウイルス後の世界に適応させる方法を考えるのではなく、コロナウイルス以前の収益を上げる方法に注目している」
「劇場公開は損失につながる、テネットと同じ結果になる、という言い訳で劇場公開を控えるべきではない。それに適応するビジネスの方法を再構築すべきだ」
「誰もが新しい現実に適応しなければならない。映画鑑賞はレストランやその他の全てと同じ、人生の一部である」
北米や欧州の主要な映画館は、第二波の影響で閉鎖が続いている。
イギリスのシネワールドは、「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ(原題:No Time to Die)」の公開延期が決まったことで再閉鎖を決断した。
・「007/ノー・タイム・トゥ・ダイ」公開日を2021年4月に延期
・「デューン/砂の惑星」と「バットマン」の公開延期が決定
イングランドは11月5日から2回目のロックダウンを開始するため、映画館の年内再開は厳しいと思われる。
北米最大のロサンゼルスとニューヨークの市場再開時期もやはり未定である。
(ノーラン監督作品の世界興収)
・ダークナイト(2008年) 10億ドル
・インセプション(2010年) 8.2億ドル
・ダークナイト ライジング(2012年) 10.8億ドル
・インターステラー(2014年) 6.7億ドル
・ダンケルク(2017年) 5.2億ドル
・テネット(2020年) 3.5億ドル
2020年~2022年の劇場公開予定作品
2020年
作品名 | 公開予定日 |
クルードさんちのはじめての冒険2 (原題:The Croods: A New Age) | 11月25日 |
フリー・ガイ (原題:Free Guy) | 12月11日 |
ナイルに死す (原題:Death on the Nile) | 12月18日 |
ワンダーウーマン1984 (原題:Wonder Woman 1984) | 12月25日 |
2021年
作品名 | 公開予定日 |
Everybody’s Talking About Jamie | 1月22日 |
キングスマン: ファースト・エージェント (原題:The King’s Man) | 2月12日 |
ゴーストバスターズ/アフターライフ (原題:Ghostbusters: Afterlife) | 3月5日 |
ラヤと最後のドラゴン (原題:Raya and the Last Dragon) | 3月12日 |
モービウス (原題:Morbius) | 3月19日 |
007/ノー・タイム・トゥ・ダイ (原題:No Time to Die) | 4月2日 |
Bob’s Burgers | 4月9日 |
クワイエット・プレイス PARTII (原題:A Quiet Place: Part II) | 4月23日 |
Ron’s Gone Wrong | 4月23日 |
ブラック・ウィドウ (原題(black widow) | 5月7日 |
ゴジラVSコング (原題:Godzilla vs. Kong) | 5月21日 |
Cruella | 5月28日 |
ワイルド・スピード/ジェットブレイク (原題:F9) | 5月28日 |
ルカ (原題:Luca) | 6月18日 |
ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネージ (Venom: Let There Be Carnage) | 6月25日 |
ミニオンズ フィーバー (原題:Minions: The Rise of Gru) | 7月2日 |
トップガン マーヴェリック (原題:Top Gun: Maverick) | 7月2日 |
シャン・チー (原題:Shang-Chi and the Legend of the Ten Rings) | 7月9日 |
ジャングル・クルーズ (原題:Jungle Cruise) | 7月30日 |
水の墓碑銘 (原題:DeepWater) | 8月13日 |
The Beatles: Get Back | 8月27日 |
ザ・ラスト・デュエル (原題:The Last Duel) | 10月15日 |
デューン/砂の惑星 (原題:Dune) | 10月 |
エターナルズ (原題:Eternals) | 11月5日 |
ウエスト・サイド物語 (原題:West Side Story) | 12月10日 |
マトリックス4 (原題:The Matrix 4) | 12月 |
2022年
作品名 | 公開予定日 |
バットマン (原題:Batman) | 3月 |