累計感染者数は200万人を突破

ブラジルで初めてコロナウイルス感染者が確認されたのは3月。それから4カ月、累計感染者数は200万人を軽々と超え、76,000人以上の死亡が確認された。

同国はアメリカに次ぐ被害を受けており、終わりの見えないパンデミックに国民は酷く疲弊している。残念なことに、PCR検査は主要都市圏を除く地域ではほとんど実施されておらず、専門家は現時点での感染者数を2,000万強と見積もっている

パンデミックが主要都市圏、サンパウロやリオデジャネイロに到達するまでにはかなりの時間を要した。まず、最初に酷くムチ打たれたのはアソゾナス地域の人々だった。

アソゾナス州、州都マナウスでは、葬儀屋がかつてない規模の売り上げを記録したと言われている。

州当局は棺桶の在庫がなくなると警告した。また、死者が激増したため、人々は急場をしのぐ大きな埋葬地を準備し、遺体を処理せざるを得なかった。

アマゾン熱帯雨林周辺のコミュニティは慢性的な貧困と栄養失調に苦しみ、マスクや手洗いという概念は存在しない。住人たちはその日を生きるために働き、何とか生活してきた。

彼らのような先住民はウイルスの影響を最も受けやすい。そして、彼らの多くは病院などの医療施設から遠く離れたエリアで生活していた。

同州の看護師、バンデル・レシア・オルテガ・ドスサントス氏は、700世帯が生活する先住民コミュニティを助けるために無償で医療を提供した。

コロナウイルスは主要都市圏に到達した。

5月、サンパウロ市長は資金不足の医療体制がパンデミックに飲み込まれ、崩壊の危機に瀕していると警告した。病床は患者で埋め尽くされ、ICUもほぼ占用、市内のスポーツジムや公共施設に臨時病棟が設置された。

感染者数が激増したにも関わらず、ブラジルは国家レベルのロックダウン、緊急事態を宣言していない。州や市は独自の対策で危機を乗り越えようと現在も奮闘している。しかし、ジャイル・ボルソナロ極右大統領を支持する人々はマスクを破り捨て、地方自治体の指示を無視した。

ボルソナロ大統領は、ロックダウンやその他の制限を「独裁的」と非難し、首都ブラジリアで開催されたアンチロックダウン抗議集会に参加した。

大統領支持派の人々は感染対策を軽視し、ボルソナロ大統領の言う通り、コロナウイルスは「軽いインフルエンザ」だと信じている。また、メディアの主張を否定し、感染者数と死者数を偽って発表していると騒ぎ立てた。

ボルソナロ大統領はロックダウンによる経済活動の低迷を懸念し、州の指導者たちに圧力をかけ続け、多くの人々もこれに共感した。一方、保健当局はこのアプローチに反対。結果、パンデミック以降、厚生大臣を務めた二人が職を解かれた(一人は辞任、もう一人は解雇)。

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ボルソナロウイルスの感染者数が100万人を突破
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ボルソナロ大統領/コロナウイルス情報を政府公式サイトからBAN

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6月20日、ブラジルの累計感染者数は100万人に到達。既に述べた通り、PCR検査数が圧倒的に不足しているため、「真の数値は誰にも分からない」と専門家は警告する。

州と市の発出したロックダウンは、ボルソナロ大統領の思惑通り、段階的に緩和もしくは解除された。

人口1,000万人超のサンパウロ市内には人が溢れ、街は活気を取り戻した。リオデジャネイロも同様。経済活動を再開すべく、両都市ではレストランやバー、商業施設などが再開された。

ブラジルの”公式”累計感染者数が100万人から200万人に到達するまでの期間は約25日。第一波を抑えることに失敗した結果、同国はパンデミックに飲み込まれた。

ブラジルから17,000kmほど離れた島国、日本でもコロナウイルスの感染がじわじわと拡大しつつある。

同国厚生労働省のまとめによると、7月17日時点の累計感染者数は23,505人、約980人の死亡が確認されている。

2月、巨大港湾都市、横浜に寄港したダイヤモンド・プリンセス号でクラスターが発生。当時、コロナウイルスの震源地は中国のみで、欧米にはまだ拡散していなかった。

政府は乗客を船内に隔離し、さらなる感染拡大を招いた、と世界中から批判された。この時、世界は東京首都圏に住む3,800万人が大クラスターを引き起こすと確信し、日本への渡航自粛を呼びかける声が高まった。

しかし、首都東京に感染は拡大したものの、当時欧州最大のホットスポットになったイタリア北部ロンバルディア地域規模のパンデミックは発生しなかった。

5月、安倍晋三首相は全土に緊急事態を宣言、強制力のない外出自粛指示、企業活動の自粛、テレワークの実施などを呼び掛けた。政府の緩い対策に世界は驚愕し、今度こそパンデミックが発生すると確信した。

その後、人口約1,000万人の東京都の24時間当たり陽性件数は200件前後で推移し、他の値域では10~20件程度。東北地方の岩手県(人口123万人)では、いまだに感染者数ゼロ、死者ゼロを継続している。

1か月後、政府は100兆円規模の緊急パッケージを準備し、国民にお金を配った。また、中小零細企業や自営業者、フリーランスなども支援、緊急事態宣言は解除され、コロナ対策と経済活動を両立すべく舵を切った。

安倍政権は、大打撃を受けた観光産業を支援すべく「GoToトラベル(7月22日開始)」事業の準備を進めた。この事業は旅費の一部(上限あり)を国が補助する制度である。国内旅行増加による観光産業への支援を目的としており、観光地は沸きに沸いた。

7月、首都東京で再びコロナウイルス感染拡大の兆候が表れ始める。24時間当たりの陽性件数が200件を越えた時点で、小池都知事は警戒レベルを引き上げると発表。緊急事態は宣言されていないが、混雑するエリア、特に夜の繁華街への外出は控えて欲しいと都民に要請した。

7月16日、政府は東京都での感染拡大を受け、全国民対象のGoToトラベルから東京都民を除外。税金で賄われる1,000億円規模のパッケージから”排除”された約1,000万人は頭を抱え、困惑した。

割引対象外にされた都民は憤り、旅行予約をキャンセル。旅行代理店とホテル、観光地は大打撃を受けることになるだろう。

一部の専門家は、「GoToトラベルに1,000億円規模の予算を投じるのではなく、休業補償や増税に伴うポイント還元事業(6月末で終了)などに予算を振り分けてほしかった。観光地が厳しい状況にあることは理解できるが、まずはコロナウイルスの終息を目指し、補償で何とか乗り切ってもらうべきだ」と語った。

【各国の感染状況/7月17日】

累計感染者累計死者新規感染者
(7月16日)
ブラジル206万人77,851人45,403人
日本23,505人984人382人
アメリカ368万人14.1万人70,254人
インド100万人25,602人32,695人
イギリス29.5万人45,318人538人
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