不誠実な動物と思われている猫・・・

犬は気分を隠すことができない動物である。満足した時は口の広角がグッと上がり、舌を出して嬉しそうに飼い主を見上げる。緊張している時は落ち着きがなくなり、下を向いておろおろする。お腹が空いたら、飼い主の足にまとわりつき「ご飯はまだですか?」とワンワン吠える。

彼らが尻尾を振り感情の全てをさらけ出す理由は分かっていない。恐らく、動物の感情を読み取る機械が発明されない限り、この答えは一生出ないだろう。しかし、そんなことはどうでもいいし、大して重要でもない。人間(飼い主)がしっかり愛情を注げば、多くの犬がそれに応えてくれるのだから。

猫は洗練された美しいボディランゲージをいくつも持っている。身体を大きく反る、あくびをする、手先を舐める、しっぽを不規則に振る、ゴロゴロ言うなどがその代表である。

犬は忠義に厚い、義理堅い動物だと思われている。”思われている”と書くのは、彼らが本当に忠義に従って行動していると証明できないためだ。しかし、飼い主の子供を外敵から守る、飼い主の元を離れないなど、その行動を見れば、人間に対して”厚い何か”を持っていることは確かだと思う。

これに対して猫は、何千年も人間と付き合ってきたにも関わらず、「不誠実」な動物という悪いイメージを持たれている。そして、ネコが飼い主を守った、飼い主のピンチにはせ参じた、という話は聞いたことがない。

猫は独立心の強い動物だと思われている(証拠はない)。一人で外をブラブラうろつき、飛んでる虫を追いかけまわす。ライバル猫と遭遇したら、威嚇し「ここは私の縄張りです。出ていきなさい」と主張したりする。結果、「ここはあなたの土地ではない」と人間(第三者)に追い払われてしまう。

1日町をブラブラうろつき、お腹が空いたら飼い主の元にはせ参じ、足元でニャーニャー。ご飯を食べてお腹が満たされたら、どこかに消える。これではただの不良息子、いや不良猫と揶揄されても致し方ない。

不誠実じゃないニャー

2018年に日本国内で実施された”全国犬猫飼育実態調査”の結果、約1,000万匹の猫が飼い主宅もしくはその周辺で飼われていることが分かった。

イギリスでも似たような調査結果が出ている。飼育されている猫は約1,000万匹。2012年時点で同国の世帯の約25%(推計)が猫を飼っていたという。

不誠実だと思われている猫は、なぜ人間に愛されるのか。義理人情を貫かず、飼い主のピンチにはせ参じない(と信じられている)不良猫を飼っても、飼育代がかかるだけであろう。しかし、世界各国、何億人もの人々がその魅力に取りつかれ、ニャーニャー鳴く姿に魅了されている。

猫を不誠実だと思っている方は、まず彼らの習性を理解しなければならない。彼らは「飼いならした」と思っても、独立心が強く、飼い主よりネズミ探しに没頭する。

彼らの多くは屋外で食料を得る技術を有している。これは外出しない(できない)エリート猫(?)も同様である。人類に動物を飼うという概念がなかった時代。猫たちは人間に依存せず独立したコミュニティの中で食料を確保していた。

しかし、人間の近くで生活していたことは間違いない。彼らは村の中を堂々と歩き、屋根裏に潜むネズミ、虫を食べ生活した。そして彼らが人間の生活をサポートしていると分かった時、猫との新たな関係が始まったのである。

ソファーの上で大あくびをするあなたの猫も、祖先から受け継いだ”野生”を忘れてはいない。食事をねだる時だけ足元にすり寄るのは、彼らの秘めたる野生、生存本能がそうさせているのだ。

猫は不誠実な動物ではない。インターナショナルキャットケアの獣医兼評議員であるカレン・ハインスタンド氏は、「犬と人間は非常によく似ており、長年住居をシェアしてきた。これに対し、人間が猫を飼い始めたのは比較的最近のことである。そして、犬の性格をよく知る私たちは、猫にもそれと同じ反応を勝手に期待している」と述べた。

既に述べた通り、猫は独立心の強い動物である。祖先から受け継いだ野生は、何万年経っても消えず、本能的に単独での行動を望んでしまうのだろう。しかし、だからといって不誠実な動物と決めつけることはできない。

リラックスしてニャーニャー鳴く姿は、とても愛らしい。もちろん彼らが「私をこの狭い部屋から解放しなさい」と主張している可能性も否定できない。しかし、「今日も同じベッドで寝たいニャー」と言っている可能性もあるではないか。

猫は人間の世界に溶け込み、家屋に悪い影響を及ぼすネズミや虫を捕まえてくれる。少なくとも、人間にとって害と思われる行動は滅多に取らないはず(猫嫌いな人を除く)。彼らを不誠実と決めつけ、駆除する人が後を絶たず、猫好きの私は心を痛めている。

全ての動物に共通して言えること。人間が敵意を持ってそれに危害を加えれば、彼らは野生、生存本能に従い、反撃を仕掛けてくる。尻尾をつかみ振り回せば、手痛い一撃があなたの顔面にはね返ってくるだろう。

猫は独立心の強い動物であるとしっかり理解することが大切だ。ブラブラすることが彼らの本能、「仕事」なのである。人間が職場に向かうのと同じだ。猫は不誠実は動物ではないニャー🐈

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