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水浸しの米カリフォルニアに嵐迫る、さらなる洪水や土砂崩れのリスクも

今回の嵐は「大気の川」と呼ばれる湿った大気が太平洋から大量に流入する気象現象によって引き起こされており、この時期としては異例の豪雨をもたらしている。
2025年12月24日/米カリフォルニア州ライトウッド、洪水により水没した車(AP通信)

カリフォルニア州南部が強力な低気圧の接近に備えている。さらなる洪水と土砂災害の危険が迫っている。気象当局は地域一帯に厳重な警戒を呼びかけ、大雨・洪水・強風警報/注意報を発令した。今回の嵐は「大気の川」と呼ばれる湿った大気が太平洋から大量に流入する気象現象によって引き起こされており、この時期としては異例の豪雨をもたらしている。降水量は沿岸部で例年の数倍に達し、山間部ではさらに多くの雨が見込まれている。

先に襲来した雨と強風では複数の地域で深刻な影響が出ている。サンディエゴでは倒木により男性が死亡、北部の州都サクラメント近郊では保安官代理が悪天候下での交通事故により命を落とした。また、山岳地帯のライトウッドでは土砂や流木が道路を覆い、一時的に住民が孤立。消防や救助隊が出動し、避難や救助活動を行った。

特に懸念されるのは過去の山火事の跡地である「バーン・スカー(焼け跡)」地域だ。これらの斜面は植生が失われており、雨水を吸収しにくいため、土砂崩れや泥流の発生リスクが高まっている。オレンジ郡の山火事などの焼け跡周辺では既に避難命令が出され、多くの住民が避難を余儀なくされている。

気象台によると、南カリフォルニアでは今週の雨量が例年の数倍に達する可能性があり、一部地域では500ミリを超える豪雨となる見通しだ。国立気象局(NWS)は洪水や土砂災害のリスクを「生命に関わる危険」と評価し、住民に不要不急の外出を避けるよう強く警告している。また、強風による倒木や停電、交通機関への影響も広範囲に及んでおり、高地では大雪による視界不良や雪崩の危険も指摘されている。

こうした状況を受けて、ニューサム(Gavin Newsom)州知事は複数の郡に非常事態宣言を発令し、州の緊急支援体制を強化した。カリフォルニア州兵も救援活動や避難支援に投入されており、救急隊員や消防隊が巡回と支援を続けている。沿岸部から内陸部に至るまで、住民は最新の気象情報を確認し、危険区域からの退避準備を進めるよう呼びかけられている。

この嵐はクリスマス期間中から始まり、交通網の混乱や旅行者への影響も広がっている。主要道路や山岳道路の閉鎖、鉄道や空路の遅延・運休などが相次ぎ、ホリデーシーズンと重なったことから、地域経済にも打撃を与えている。気象専門家は「水分を大量に含んだ大気の流れが継続する限り、さらに強い降雨が予想される」としており、警戒の必要性を強調している。

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