◎各国のメタン排出量は政府の公式数値より70%多い。
2019年11月28日/中国、山西省河津の石炭火力発電所(Getty Images/AFP通信)

2月23日、国際エネルギー機関(IEA)は石油、天然ガス、石炭などの化石燃料から排出される温室効果ガスの排出量は、各国政府が発表している公式数値よりかなり多いと発表した。

IEAは23日に公表したレポートの中で、各国のメタン排出量は政府の公式数値より70%多いと明らかにした。また、今回の調査で明らかになった追加のメタンは、欧州諸国の電力をすべて賄えるほどの量だという。

IEAはレポートの中で、「この調査結果は温室効果ガスの排出量を削減するためには監視と法律の強化が必要であることを示している」と強調した。

専門家によると、産業革命以降に起こった気温上昇のほぼ3分の1はメタンが引き起こしたものだという。メタンは二酸化炭素より大気中にとどまる時間が短いにもかかわらず、同じ重量で比較すると二酸化炭素より強い温室効果を持っている。

メタンの排出抑制は地球温暖化を抑制するうえで極めて重要と考えられており、世界中の気候活動家が各国に対策を求めている。

IEAのレポートによると、エネルギー部門からのメタン排出量は昨年から約5%増加し、天然ガスに換算すると1,800億㎥にのぼるという。

IEAのビロル事務局長は、「これ(1,800億㎥)は欧州の全電力セクターが1年間に使用する天然ガスに相当し、進行中のガス価格高騰を簡単に緩和できるだろう」と述べた。

またビロル事務局長はメタン排出の報告の透明性を高める必要があると各国政府に呼びかけた。

軌道を周回している人工衛星は温室効果ガスの排出源を特定するのに役立っているが、赤道沿いや極東などの一部地域は完全にカバーできていない。

IEAによると、メタンの排出量の多い国は中国、ロシア、米国、イラン、インド。

2021年5月21日/中国、内モンゴル自治区の石炭火力発電所(ロイター通信)
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