◎呼吸器系の疾患で入院した患者はこの1カ月で5000人を超え、少なくとも3人が死亡した。
イラクの首都バグダッドが砂嵐に覆われている。
保健省によると、バクダッドでは16日だけで少なくとも1700人が呼吸器系疾患で病院に搬送され、2人の死亡を確認したという。
イラクではこの1カ月で少なくとも8回、大規模な砂嵐が発生している。政府は非常事態を宣言したうえで、国民に外出を極力控え、マスクや布で口と鼻を覆うよう呼びかけている。
呼吸器系の疾患で入院した患者はこの1カ月で5000人を超え、少なくとも3人が死亡した。
イラク国営通信(INA)によると、16日に死亡した2人は国境近くの集落の住民だという。
イラクで砂嵐は珍しくないが、今年の発生回数は例年より多く、専門家は干ばつ、砂漠化、気候変動が進んだ影響と警鐘を鳴らしている。
バグダッド州知事は16日、保健省職員を除く州内の公務員に自宅待機を命じた。他の3州も同様の措置を取ったと伝えられている。
保健省によると、5月5日の大規模な砂嵐では5000人以上が入院し、1人が死亡した。
バグダッド、アル・ナジャフ、スレイマニヤの各空港は視界不良により運航を停止している。
バグダッドのレストランで働く男性はAP通信の取材に対し、「政府は緑地整備を進めず、砂漠化を放置している」と語った。
環境省によると、干ばつの影響で国内の貯水量は昨年から50%も減少し、政府は広大な農地の砂漠化対策に苦慮しているという。
イラク政府はトルコとイランのダム事業により、イラクの主要河川の流量が減っていると非難している。
バグダッドの住民は医療用マスクで何とか砂を防いでいる。
通りで野菜を販売している男性はAP通信に、「商売にならない」と語った。「誰もいません。皆、出を控えています。本当につらい...」
市内の主要な市場は何とか営業を継続しているが、その場で料理を提供する店は砂に苦慮している。米料理を提供している女性は、「砂は調味料のひとつです」と冗談を言った。
果物市場のリンゴやアプリコットも砂で覆われている。従業員の女性はリンゴを濡れタオルで拭き、「店を閉めるわけにはいかない」と語った。「生活がかかっていますから...」